DH導入が試合にどう影響するのか(イメージ)
プロ野球セ・リーグにDH制を導入すべきか否か。巨人をスイープした昨年のソフトバンクの例を挙げるまでもなく、DH制の有無がレベルの差を生んでいるとする指摘も多い。しかし、セパ格差を是正するためのDH導入に反対するのは、野球評論家の宇野勝氏だ。宇野氏が自身の見解を述べる。
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中日、ロッテと両リーグを経験した立場から言えば、「本当にセとパが同じ野球を目指す必要があるのか?」と問いたいですね。
パワーのある投手や打者が多いパは魅力的ですが、ピッチャーなどの選手交代が試合の流れをガラリと変えるセの野球だって面白い。
僕は中日時代、投手に代打が送られたり、「次の打席まで」と投手交代を延ばしたことで「野球の神様」が行ったり来たりする試合を何度も経験しました。
強いほうが必ず勝つのが野球ではない。「運」や「監督の決断」が試合を左右するのも野球の魅力なんです。
犠打やエンドランを多用するセの細かい野球にもいいところがあります。もしパのエース格の投手が打席に立ったら、バントや進塁打など小技が使えたのか。凡ミスで試合の流れを悪くしていた可能性もある。もし昨年の日本シリーズが「全試合DH制なし」だったら、違う結果が出ていたかもしれません。
個人的にはDH出場は苦手でした。慣れないこともあったが、守備がないのでベンチで集中力を維持するのが大変でした。どうしてもリズムが悪くなる。やることがないので小腹が空いたら軽食をつまんだりして暇をつぶしていた。ロッテには打席に入らないときはロッカーでゲームをやっていたホールという外国人選手もいましたね。
あと、高校などアマチュア野球ではDH制導入は絶対ダメだと思います。野手か投手かの選択を早くに迫られ、選手の可能性を摘むことになりかねません。
※週刊ポスト2020年1月15・22日号