スポーツ

取得に億単位の金がいる相撲の年寄株 協会理事長も「改革は無理」

年寄株をめぐる問題とは?(時事通信フォト)

年寄株をめぐる問題とは?(時事通信フォト)

 引退後の力士が親方として日本相撲協会に残るために必要な「年寄株」。年寄株がなければ、いくら現役時代は名力士で成績を残しても、協会を去るしかない。それゆえ、所有者にとっては強大な既得権益化し、高額売買が何度も問題になり、協会内では勢力争いの道具にもされてきた。

 こうした年寄株をめぐる悪弊を断ち切る最大のチャンスが、2014年の相撲協会の公益財団法人移行だった。

 税制上の優遇措置を受ける公益法人となる以上、不透明な金銭のやり取りを認めるわけにはいかず、年寄株は個人所有から協会の一括管理とすることに決まる。金銭による売買ができなくなり、借株も禁止された。ところが、である。

「結局は株を持つ親方が継承者を推薦できる権利を持ち、その継承者が先代に顧問料などを支払うことが認められた。実態として金銭の授受が温存されたのです」(協会関係者)

 借株についても、公益法人移行時点で借株の親方に「3年間の猶予」が与えられたが、「春日山」(元前頭・武州山)などは6年以上が過ぎた現在も借株で、移行後にも複数の借株が生まれた。

「たとえば、元前頭・翔天狼の襲名した『北陣』は現役の遠藤からの借株。11月場所中には元大関・琴奨菊が引退して『秀ノ山』を襲名したが、この『秀ノ山』を昨年2月まで借りていたのが元前頭・天鎧鵬。琴奨菊の引退が近いと察して現役の阿武咲が所有する『音羽山』に借り換えるドタバタがあった。借株は禁止だが、協会の規程で“年寄名跡一時的襲名”が認められていて、有名無実化している。昔と同じでカネを払える力士が親方として協会に残れるということ」(ベテラン記者)

 相撲部屋の継承は簡単ではない。部屋の土地・建物に加え、力士や床山、呼び出し、行司まで引き継ぐことになる。

「近年の年寄株の価値は1億円といわれるが、すべてを引き継げば最低でも5億円とされる。これを払える力士は少ない。横綱、大関経験者か、後援会組織がしっかりした人気力士ぐらい」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン
スシローから広告がされていた鶴瓶
《笑福亭鶴瓶の収まらぬ静かな怒り》スシローからCM契約の延長打診も“更新拒否” 中居正広氏のBBQパーティー余波で広告削除の経緯
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・HPより 写真はいずれも当該の店舗、スタッフではありません)
《丸ごとネズミ混入》「すき家」公式声明に現役クルーが違和感を覚えた点とは 広報部は「鍋に混入した可能性は著しく低い」と回答
NEWSポストセブン
牛飼はグループのトップといて実行役の採用に関与し、従業員を様々な会社へ派遣していた(左・SNSより、右・知人提供)
「『黒い仕事できますか?(笑)』『稼ぐやつは法律ギリギリでやるから』と…」トクリュウ投資家“牛飼” 斎藤大器容疑者(33)の“管理と教育”《面接を経験した男性が告白》
NEWSポストセブン
西武・源田壮亮の不倫騒動から3カ月(左・時事通信フォト、右・Instagramより)
《西武・源田壮亮の不倫騒動から3カ月の現在》元乃木坂の衛藤美彩、SNSの更新はストップのまま…婚姻関係継続で貫く「妻の意地」
NEWSポストセブン
今年9月の19才の誕生日には成年式が予定されている悠仁さま(2025年3月、東京・文京区。撮影/JMPA) 
悠仁さま、卒業式後はクラスメートと2時間以上の名残惜しい“お別れタイム” 宮内庁発表の「卒業文書」に詰め込まれた“こだわり” 
女性セブン
お笑いトリオ「ジャングルポケット」の元メンバー・斉藤慎二。東京地検が不同意性交と不同意わいせつの罪で在宅起訴したことがわかった
《ジャンポケ斉藤が不同意性交罪で起訴》20代女性との“示談交渉”が決裂した背景…現在は“表舞台に戻れない”と芸能以外の仕事に従事
NEWSポストセブン
大阪桐蔭の西谷浩一監督と同校OBのモノマネ芸人・小島ラテ氏(産経新聞社)
【こぶりな西谷浩一監督!?】大阪桐蔭出身のモノマネ芸人・小島ラテが打ち明ける原点「西谷先生のクラスでした」「何かと特徴のある先生ですからマネしやすい(笑)」
NEWSポストセブン
亡くなる前日、救急車がマンションに……
《遺骨やお墓の場所もわからない…》萩原健一さん七回忌に実兄は「写真に手をあわせるだけです」明かした“弟との最期の会話”
NEWSポストセブン
3月24日午後4時半すぎに事件は起きた
《高齢ドライバー事故》あんたが轢いたのは人間やで!」直後に一喝された古橋昭彦容疑者(78)は呆然とうなだれた…過去にも「気づいたら事故」と供述【浜松・小学生姉妹死傷】
NEWSポストセブン
試合後はチームメートの元を離れ、別行動をとっていた大谷翔平(写真/アフロ)
【大谷翔平、凱旋帰国の一部始終】チーム拠点の高級ホテルではなく“東京の隠れ家”タワマンに滞在 両親との水入らずの時間を過ごしたか 
女性セブン
Number_iのメンバーとの“絆”を感じさせた永瀬廉
キンプリ永瀬廉、ライブで登場した“シマエナガ”グッズに込められたNumber_iとの絆 別のグループで活動していても、ともに変わらない「世界へ」という思い 
女性セブン