最近のある心理学の研究では、自分らしくある感覚、自分自身に感じる本当らしさの感覚のことを「本来感」と名付けている。本来感では、自分が自分らしいと感じること、自分のアイデンィティと調和して行動しているという感覚が重要になるという。ある番組で氷川さんは、「人にどう思われるのかでなく、自分がどう生きたいか」と語り、“誰でもなく、自分を生きること”、つまり本来感の大切さを口にした。
人が人として自分らしく成長していくためには本来感が大切ということだが、これができるようで難しいのが現実の社会だ。氷川さんも受賞式で、「これまで20年間、型にはめてそこからはみ出さないように表現していかなきゃいけないと思っていた」と語っている。
氷川さんは、昨年10月に発売したアルバム『生々流転』の意味を、「姿形が変わったり、時代や時の流れとともにいろいろ変わるが、根本となる心の部分は変わらない」と話している。姿形が変わろうが、彼自身の心は変わらない。それは愛犬ココアに対しても同じ。例え目が見えなくても耳が聞こえなくなってもココアはココア。ココアが自分らしく生きることを大切に、精一杯の愛情を注いできたのだろう。
氷川さんはどこまで自分らしさを表現し変化し続けるのか。とにかく今は、愛犬との日々が1日でも1時間でも長くなるよう、心から祈るばかりだ。