国内

1日6万円の休業協力金 「焼け太り」する飲食店もあれば「闇営業」も

飲食店に掲示された時短営業を伝える張り紙(イメージ、時事通信フォト)

飲食店に掲示された時短営業を伝える張り紙(イメージ、時事通信フォト)

 緊急事態宣言が再び発令されるにあたり、対策として営業時間の短縮要請が飲食店などに出されているが、その協力金をめぐって不満が爆発している。東京都は給付金の対象を中小事業者に限っていたが、18日に大手も対象にすると方針を転換。だが、この営業時間短縮要請でも、狙ったほど人出は減少していない。ライターの宮添優氏が、1店舗あたり1日6万円の支給について、飲食店主たちが考える本音を聞いた。

 * * *
 新型コロナウイルス感染拡大の第3波により、通常であれば仕事帰りのサラリーマンでごった返しているはずの東京・新橋の歓楽街は閑散としている。客引きや酔客で賑わっていた小径には人の姿もほとんど見られず、飲食店の看板からは灯が消え、シャッターは降りたままだ。緊急事態宣言に伴う、国や自治体からの「要請」の結果ではあるが、当然、全ての店が休業を受け入れているわけではない。

「一律の協力金の話もあるが、うちは全く受け入れられない。今は看板を消して、直接問い合わせのあった客だけを入れる形で営業しています。闇営業? そうかもしれないですね。協力金をもらっても損する店と、焼け太りする店が出てきているのに、その実情すら報じられないんです」

 新橋など都内の繁華街で複数の居酒屋を営む後藤昌志さん(仮名・40代)が不満を訴えるのは、緊急事態宣言下で営業時間を短縮する店に1店舗あたり1日6万円の休業協力金が支払われるという、政府が掲げた指針についてだ。基本的には、午後8時以降の営業の自粛などが求められているが、アルコールを提供する店で午後8時以降に営業できないというのは、収入の大部分を失うことに等しいという。一番の問題は「一律」とされたことだという。

「うちの店は、一店舗あたり大体1日の売り上げが50万円以上で、満卓になれば40人以上入る規模の店ばかり。だから、1店舗あたり6万円をもらっても、家賃や人件費が上回り焼け石に水。ところが、同じビルに入る小料理屋は満卓で10人も入ればいい方で、スタッフも2人だけ、1日の売り上げは10万円よりもずっと下。だから何もしないで6万円だと、逆に得をするんです。都心でもこうだから、家賃の安い地方などはさらに『得』。これじゃあ納得できない」(後藤さん)

 実際、緊急事態宣言中でも、後藤さんが経営する新橋以外の店を訪れる客は増え続け、1日30万円近く売り上げることもある。もちろん、売り上げの多くは午後8時以降の営業によって生まれるもので、都内某所の歓楽街にある別店舗は連日連夜の満席という盛況ぶり。売り上げが普通に営業していた昨年末頃を超え、そこで出た利益を他店舗の運営代やスタッフの賃金に回していると話す。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト