正直、漫画家の小林よしのり氏をはじめとする「騒ぎ過ぎ派」は常に劣勢だった。テレビでは『モーニングショー』の玉川徹氏や岡田晴恵氏、さらには日本医師会や東京都医師会の会長も「騒ぎ過ぎ派」に苦言を呈していた。

 それが冒頭で紹介した「現代ビジネス」の記事では明らかに潮目が変わったように感じた。これまで散々「邪教の教祖様とその信者」的扱いをされてきた小林氏と私をはじめとした「コロナに騒ぎ過ぎ派」へのネット上でのコメントが好意的になってきたのだ。

 私は民放テレビ番組や自身の既得権益(医師増加反対、後期高齢者の2割負担反対、さらにはコロナ患者受け入れを嫌がる)を守ることを重視する医師会に対しては批判的なスタンスでいた。

 だが、世間様の「コロナはヤバ過ぎ!」という声に小林氏や私は常に「人の命は地球よりも重いのになぜ貴様らは命を軽視するのだ!」的批判を浴びてきた。この批判が若干弱まった。これからネット世論がどうなるかは分からないが、この1年間で初めて私は「味方ができた」と感じている。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。近刊に『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。

※週刊ポスト2021年2月5日号

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