ライフ

江戸東京博物館【3】プリントゴッコやポケベルに壇蜜「記憶が甦る」

「ひばりが丘団地」復元年代 昭和37年頃、縮尺1/1(特別に許可を得て展示内部で撮影)

「ひばりが丘団地」復元年代 昭和37年頃、縮尺1/1(特別に許可を得て展示内部で撮影)

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜──日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京・墨田区の東京都江戸東京博物館の第3回。2人が昭和から平成にかけての都民の日常を垣間見る。

壇蜜:戦後の高度経済成長期の象徴とされる「団地」。昭和の香りが漂う生活空間に瓶ジュースが懐かしい。

山下:和式便所の住宅も懐かしい。床が2段式の“汽車便”タイプですね。

壇蜜:模型は昭和30年代の「ひばりが丘団地」だそうですが、東京都江戸東京博物館は建物だけでなく食卓の様子など庶民の生活の営みそのものが再現されていて、興味を引かれます。

山下:一般に歴史博物館では歴史的事件やお殿様など為政者の暮らしは細やかに紹介されても、庶民の暮らしに根付いた展示は多くない。徹底して市井にフォーカスしている点がユニークです。

 文化の変遷を辿る「変化を続ける東京(1960─2010)」では、社会現象となった竹の子族のコスチュームやバブル時代のボディコン、コギャル文化なども展示している。ルーズソックスを博物館で陳列する発想にもシビれます。

壇蜜:時系列で展示を見ていくと時代の記憶が甦ります。私もまさにこのプリントゴッコやポケベルを持っていました!

 2010年以降の展示も今後加わるそうなので、マスクやタピオカなど令和の紹介では何が登場するのか楽しみです。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●東京都江戸東京博物館
【開館時間】9時30分~17時30分(土曜は19時30分まで/最終入館は閉館30分前まで)※当面の間、土曜も17時30分閉館
【休館日】月曜(祝日または振替休日の場合は翌日)、年末年始
【入館料】一般600円
【住所】東京都墨田区横網1-4-1

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年2月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

日本のブライダルファッションの先駆け的存在、桂由美さん
《芸能人も多数着用》桂由美さんが生前嘆いていた「ナシ婚」 ウエディングドレスで「花嫁を美しく幸せにしたい」強い思い
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン