ライフ

コロナ禍のお金の不安 「がんばって増やす」より「家計の自衛」のほうが有効

家計

これからは「守り」の時代 CORA / PIXTA(ピクスタ)

「高所得を目指して必死に働く? いやいや、これまでの生活=『家計』のありかたを見直し、お金を守る自衛策を講じたほうが、幸福度や生活満足度は増しますよ」という人がいる。ジャーナリストの清水克彦さんだ。在京ラジオ局に在籍し、報道記者やキャスター、報道番組のチーフプロデューサーをつとめ、数多くの経済専門家を取材してきたメディア界の住人でありながら、大学院で経営学などの研究を重ねてきた“調査オタク”でもある。その彼が、コロナ禍と菅政権の指針、さらに安倍&トランプが残した爪痕による社会影響などを見据え、お金の不安に打ち克つならば、これからの数年間は「守り」の時期だというのだ。

年収1000万円になっても幸福にはなれない!?

 いやいや、政府も「まずは自助(自分でできることはまず自分でやってみる)、公助は最後」といっているように、まずは今以上の収入を得るために頭や肉体を使うべきでしょ?と思いきや、しかし実際は、収入が上がれば上がるほど、たとえばサラリーマンのあこがれ=年収1000万円プレーヤーになったとしても、キツさは変わらないばかりか、幸福度も上がらない――というのだ。ま、まじか!

「2010年に『収入と幸福度は比例するが、年収7万5000ドル(約800万円)で幸福度はほぼ頭打ちになる』という学説が出ました。日本でも、2019年に内閣府が発表した『満足度・生活の質に関する調査』で、高年収になっても満足度はさほど上がらないという結果が出ています。背景には、高収入を維持するための競争によるストレス、家族との団らんなど自由な時間の減少、お金があればあるほど増す欲望などがあるように感じます」(清水さん。以下、カッコ内は同)

公的支援ナシで家計に余裕ナシのモヤモヤ

 さらに、“年収1000万円の人(or世帯)”になった時点で、制度面でも恩恵が受けられなくなるという。たとえば税金。年収850万円を超える会社員や公務員の所得税が増税になり、月収63.5万円以上ある人は、厚生年金の保険料も引き上げられた。

 加えて中学生以下の子どもがいる世帯が受け取れる児童手当は、年収960万円で対象外に。東京都の私立高校授業料無償化の所得制限は、世帯年収910万円が上限。政府が2020年4月からスタートさせた高等学校等就学支援金制度(返還不要の授業料支援制度)も、所得の上限が910万円だ。

 つまり、年収1000万級の高所得者は、公的支援になんら期待できないということ。所得から税金と社会保険料を差し引いて、そのうえ子ども2人の教育費、住宅ローンまで抱えていたとしたら……あれれ、たしかに、思ったほど家計に余裕はないんじゃないの!?

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン