「1996年に大ヒットした『ナースのお仕事』ですね。ドジで明るくて人気者の朝倉いずみ(観月ありさ)と、先輩ナースで指導役の尾崎翔子(松下由樹)の掛け合い、『あーさーくーらー!』『せーんぱーい!』を覚えている人は多いでしょう。失敗だらけのいずみに振り回される完璧主義の翔子が、実はいずみの人柄が仕事に活きていることに気づいていく。凸凹コンビが互いに成長していくストーリーが魅力ですね」
シリーズ4作にスペシャル版、映画も作られ、20年近く愛され続けた作品だ。こうしてみると、女性コンビものも不朽の名作が生まれているし、そもそも旬の女優の競演はドラマでも映画でも常に注目を集めるから、もっと多くの作品があってもよさそうだ。なぜ女性コンビものはあまりないのか、テレビ解説者の木村隆志氏はこう語る。
「1970年代、80年代までは、まだまだ女性の社会進出が進んでおらず、人気の女優やアイドルが主演する作品といえば恋愛ドラマでした。おそらく初めての女性コンビものとしてのヒットは、W浅野こと、浅野温子と浅野ゆう子が主演した『抱きしめたい!』(1988年)あたりでしょう。この作品は、三角関係と友情をテーマにしていて、ちょうど女性コンビものの走りという感じ。それから女性同士の友情をテーマにした『素顔のままで』が生まれ、1990年代なかばになってようやく、女性が主役の職業ドラマである『ナースのお仕事』がヒットする。女性コンビの描き方には社会の変化が反映されているのです」
だとすると、令和の現代なら女性コンビの刑事ドラマも生まれそうである。