賃料減免に応じるホテルオーナーも
ホテルを運営する以上、人件費をはじめとした固定費は当然発生する。賃貸であれば集客の有無にかかわらず賃料も支払わなければならない。
オペレーターがオーナーと契約する際には、各種リサーチ、データなどから多様な想定をし、繁閑や稼働率、客室単価などを計算して賃料を設定するのだが、今回のコロナ禍のように一気に需要が消失するようなケースまでは想定されなかっただろう。コロナはまさに“想定外の出来事”だったわけだ。
東京のホテルでは五輪の宿泊需要も望み薄に(Getty Images)
コロナ以前、訪日外国人旅行者の激増で潤っていたとあるホテルオーナーへ取材した際、「こちらとしてはお金を運んでくれればいいわけで、運営そのものにはさして興味がない」と話していたことを思い出した。ジェットコースターのように急降下したいま、そうしたホテルがどうなっているのか気にかかる。
業界専門誌の記者によれば、「コロナ禍でオペレーターから賃料減免の交渉などが重なっている」という。「運営そのものに興味のなかったオーナーも、差し迫った状況に危機感を抱き運営会社への目線も厳しくなっている」とのことだ。
とあるオーナーは、「今さらオペレーターを変えるのは大変なので(契約のやり直しや看板の掛け替えなどの経費面も含め)、賃料減免交渉には応じるが……」と前置きしうえで、「今後も倒産せずにやっていけるのか、見込みを立てておかないといけない」と苦渋に満ちた表情で話す。
幸い、賃料の減免をはじめ、直営・賃貸を問わず人件費であれば雇用調整助成金といった公的支援もあり、宿泊需要が激減しても“ホテルは何とか生きながらえている”のがリアルな実情である。