資金繰りを支える金融機関の“判断”
では、肝心の資金繰りはどうなっているのか。ホテル投資やマネジメント契約、ホテルアセットマネジメントが専門の立教大学大学院特任教授の沢柳知彦氏は、金融機関のマーケット回復期待という点も鑑み、こう指摘する。
「政府の意向もあり、金融機関は当面は宿泊事業者の資金繰りを支えていく姿勢だが、先行きが不透明ないま、債務者を法的整理に追い込んで担保処分を行なっても、債権回収額に期待が持てない」
不良債権化や担保処分時期の判断は、マーケットの回復次第といった状況だ。
一方、いまを好機と捉え、攻めに転じる投資家やオペレーターもいる。ファンド傘下で新店舗の開発・出店を加速させるケース、他のオペレーターにはないコロナ禍ならではの運営手法で受託する運営会社、再生支援やフランチャイズ戦略を積極的に行うケースなどだ。
過去に経験のない状況下にあって、こうしたポジティブなニュースはより際立つ。そして、そこには“観光産業は必ず復活する”という強い思いも感じる。