資本力乏しいホテル「待ったなし」の状態
とはいえ、一刻の猶予も許さない危機に瀕したホテル業界の2021年はどうなってしまうのだろうか。公的支援も永劫に続くわけではない。前出の沢柳氏は、「公的援助パッケージが徐々に打ち止めとなる段階で法的整理に入る事業会社が増える」と予測する。
GoToトラベルの再開を待ちわびるホテル業界(時事通信フォト)
また、金融機関による不良債権回収については、
「ある程度コロナ禍が落ち着き、資金繰りが安定した段階で、それでも債務の返済が不能となっている場合は順次債権回収手続きを進めることになるだろう。ただ、長引く低金利環境下で金融機関自体の体力が弱っていることもあり、一度に膿を出さず徐々に行なっていくことになるかもしれない」(沢柳氏)
結果的にコロナ禍による不良債権処理には時間がかかる可能性が高いと同氏は分析する。コロナの収束が長引けば長引くほど、資本力の乏しい施設の破たん増加は免れない待ったなしの状況──。嵐の前の静けさともいえる。
ホテルは“人が要”といわれるが、一度離れた人材を呼び戻すことの困難さも現場レベルでは大きな悩みだという。いま多くのホテルは停止しているGoToトラベルキャンペーンの再開に望みを託している状態だが、今後ホテルを取り巻く環境は、様々な意味でこれまでの常識が通用しないような変化に直面することは間違いなさそうだ。