芸能

渡辺謙が語る『独眼竜政宗』 命懸けだった勝新太郎との緊迫シーン

渡辺謙が自身の出世作を振り返る(写真/共同通信社)

渡辺謙が自身の出世作を振り返る(写真/共同通信社)

 NHK大河ドラマ60作目となる『青天を衝け』が、2月14日にスタートした。同作は「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一を吉沢亮が演じる。歴史を振り返ると、数多くの名優が大河を舞台に輝いてきた。そこで『週刊ポスト』は、読者1000人に「史上最高の大河ドラマ俳優は誰か?」という調査を実施した。

 読者投票で1位となったのは、『独眼竜政宗』(1987年)で主役を演じた渡辺謙だ。同作は39.7%の歴代最高平均視聴率を記録し、幼い梵天丸(政宗の幼名)が不動明王像を前にして言う「梵天丸もかくありたい」という言葉が流行語になったほど。渡辺謙は当時28歳だった。自身の出世作をこう振り返る。

「子役たちの人気がすごく高かったので、かなりプレッシャーがありました。政宗の若い頃を演じる時は、芝居のスピードを相当上げて、年齢を重ねていくことを意識しました」

 大河ファンのタレント・松村邦洋は同作についてこう話す。

「『独眼竜政宗』の前は『山河燃ゆ』『春の波濤』『いのち』と現代劇が3作続き、視聴者が“戦が見たい”と歴史モノを望んでいました。その中で、新進気鋭の若手俳優だった渡辺謙さんを起用し、ドラマが勢いに乗った。

 そもそも戦国武将を野球選手に譬えると、織田信長が長嶋茂雄、豊臣秀吉が王貞治、伊達政宗は清原和博というくらい年齢が離れています。三英傑から見ると“新人類”同然の政宗を、若さあふれる謙さんが演じる姿は本当にカッコよかった」

 北大路欣也、原田芳雄、津川雅彦、岩下志麻など、重厚な役者が顔を揃えた同作では、勝新太郎演じる豊臣秀吉と若き日の政宗が初めて顔を合わせるシーンが語り草になっている。

 緊張感を高めるため、この場面の収録まで勝は渡辺と一切顔を合わせなかった。迎えた撮影時、ヒリヒリと緊迫した雰囲気の中で、勝は「この若造が」とばかりに、手にした采配を渡辺の首元に突きつける。完全な勝のアドリブだった。当時の現場を渡辺が懐かしそうに振り返る。

「とにかく何が起こるかわからない。全身にアンテナを張り巡らして、命懸けでした。それが政宗の心境とシンクロしたのでしょう。勝さんとのシーンはすべて何が起こるかわからない雰囲気でした」

 この緊張感が空前の大ヒットを生んだのだ。

※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン