芸能

国広富之 緒形拳さんと林隆三さんに見た「生き様を背負った芝居」

俳優の国広富之が緒形拳さんと林隆三さんの思い出を振り返る

俳優の国広富之が緒形拳さんと林隆三さんの思い出を振り返る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優の国広富之が、「必殺」シリーズの撮影で見聞きした緒形拳さんと林隆三さんについての言葉を紹介する。

 * * *
 国広富之は京都学園大学在学中にエキストラのアルバイトとして撮影に参加、役者としてのキャリアを始める。通っていたのは京都映画撮影所(現・松竹京都撮影所)。時代劇を専らに撮る撮影所だ。

「大部屋に所属させてもらいました。あまりに熱心に通うものだから、三か月すると『お前のかつら、用意しといたから』って、自分のかつらや羽二重をいただきました。できる人は自分でやらせたいんです。放っておいても衣装もかつらも自分で着けられるわけですから。エキストラだから、クローズアップもないので、適当に合わせて色塗って。それで大丈夫でした。

 大部屋ってスターになりたくて頑張る人もいるんですが、大概の人は職業としてやっていました。そういう先輩がセリフのある役を回してくれるんですよ。

 なんでかというと、役につくとワンシーンで一万円のギャラ。エキストラはワンシーンで三千五百円。夜までやったら二つシーンに出られて七千円になります。それを一週間やると三万五千円。でも、役についたら、その回はそのワンシーンしか出られません。あとの四日は仕事がない。だから、みんなやりたがらないんです。でも、僕は嬉しいから『やります!』と言ってやらせてもらいました」

 当時、京都映画で撮影していたのは「必殺」シリーズ。中でも緒形拳と林隆三が主演した第五作『必殺必中仕事屋稼業』(一九七五年、朝日放送)の現場は国広に強い印象を与えている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「夢みる光源氏」展を鑑賞される愛子さま
【9割賛成の調査結果も】女性天皇についての議論は膠着状態 結婚に関して身動きが取れない愛子さまが卒論に選んだ「生涯未婚の内親王」
女性セブン
勝負強さは健在のDeNA筒香嘉智(時事通信フォト)
DeNA筒香嘉智、日本復帰で即大活躍のウラにチームメイトの“粋な計らい” 主砲・牧秀悟が音頭を取った「チャラい歓迎」
週刊ポスト
『虎に翼』の公式Xより
ドラマ通が選ぶ「最高の弁護士ドラマ」ランキング 圧倒的1位は『リーガル・ハイ』、キャラクターの濃さも話の密度も圧倒的
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
撮影前には清掃員に“弟子入り”。終了後には太鼓判を押されたという(時事通信フォト)
《役所広司主演『PERFECT DAYS』でも注目》渋谷区が開催する「公衆トイレツアー」が人気、“おもてなし文化の象徴”と見立て企画が始まる
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン