柴門ふみさん

「人は誰かを裁く権利はない」と話す柴門ふみさん

林:まぁ、イケメン美容師でもシェフでも、世の女性は日常にささやかな潤いを求めて“ときめきがほしいの”なんて言いながらも、リアルにときめいている人がいたら許せないとボコボコにする。世の不寛容さをなんとかしなきゃと感じます。そんなに自分は正しい人間なのかと。

 人間なんていい加減で、右へ行ったり左へ行ったり、もしあなただってめちゃくちゃタイプな男性が目の前にやってきて、“奥さんのためにぼくはすべてを捨てる”なんて言い寄られたら、揺らぎませんかってね。

 ただ、不思議なのは『恋母』の連載中に不倫を叩く風潮がものすごく盛り上がって、その中で渡部(建)さんのことを叩いて、“あんな不倫男は許せない”と猛烈に怒っているのに、自分たちは『恋母』を読んでまり(登場人物の蒲原まり。専業主婦で落語家の今昔亭丸太郎に誘われる)になったり、優子(登場人物の林優子。部下と不倫をする)になったりして、喜んでいるんですよね。

柴門:まりの夫と不倫をしていたのり子もドラマで演じた女優さんの演技がすごく振り切っていて、女性にわりと人気があったんですよ。

林:不倫しているのり子も好きならなおさら、もうちょっと想像性なり寛容性なりを持ってもいいんじゃないかと、私は思うんだけど。

柴門:そこは持たない。面白いですよね。ダブルスタンダードで生きている。近所の犬友達と話していても、40才ぐらいのママたちが“毎週見てドキドキしちゃう”って言うんですよ。

 ドラマは家族とは見られないから、子供や夫がいない時間に録画したものを見るんだって話していましたけど。物語として不倫を見るぶんには楽しいみたい。でも、いざ自分の夫だったり、ママ友や犬友が不倫をしたとしたら、それは許せなくて叩くんじゃないでしょうか。

【プロフィール】
林真理子(はやし・まりこ)/1954年生まれ。コピーライターを経て、1982年に出版したエッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに。『不機嫌な果実』『アッコちゃんの時代』『西郷どん!』など著書多数。1986年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞、1995年『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞などを受賞。2018年に紫綬褒章を受章し、『週刊文春』で連載中のエッセイは2020年に「同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数」としてギネス世界記録に認定された。

柴門ふみ(さいもん・ふみ)/1957年生まれ。漫画家。1979年『クモ男フンばる!』でデビュー。代表作に『東京ラブストーリー』『同・級・生』『あすなろ白書』(いずれも小学館)など「恋愛の神様」と呼ばれるほどいくつもの名作を生み出し、ドラマ化された作品も多数。『結婚の嘘』(中央公論新社)、『老いては夫を従え』(小学館)など、恋愛や結婚、女性の生き方を鋭い筆致で書くエッセイにもファンは多い。

取材・文/渡部美也 撮影/田中麻以

※女性セブン2021年3月11日号

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不倫叩きに「もうちょっと想像性なり寛容性なりを持ってもいい」と語る林真理子さん

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