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2021.03.24 16:00  週刊ポスト

ホンダとF1プレイバック あの情熱の時代は過ぎ去ろうとしている

F1に情熱を傾けた本田宗一郎(写真/AFP=時事)(写真/AFP=時事)

F1に情熱を傾けた本田宗一郎(写真/AFP=時事)

 ホンダは2021年シーズンを最後にF1から撤退することを決めた。同社は1964~1968年(第1期)、1983~1992年(第2期)、2000~2008年(第3期)、2015年~現在(第4期)と、長きにわたりF1に参戦してきた。4度目の撤退の理由は、決して成績不振によるものではない。

『技術屋の王国 ホンダの不思議力』などの著書がある経済ジャーナリストの片山修氏が言う。

「昨シーズンは3勝を含む14回の表彰台を獲得。年間チャンピオンに手が届くところまで力を伸ばしてきていた。そんなタイミングでの撤退は、ビジネス上の理由が大きいでしょう。

 創業者の本田宗一郎氏が早くからF1に取り組んできた理由は、世界最高峰の舞台で培った技術は一般車にも反映されると考えていたから。レースは“実験の場”だったわけです。

 しかし、世界の自動車のトレンドは電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)など環境対応車に移ろうとしている。もはや旧来のエンジンが主役のF1のようなレースで世界一になっても“実益”は少ない。

 F1参戦には年間で数百億円の費用がかかる。“金食い虫”からの撤退は歴史の必然かもしれません」

 ホンダでは、4月1日付で三部敏宏専務が社長に昇格。現社長の八郷隆弘氏は代表権のない取締役に退き、株主総会後の6月に退任予定だ。

 八郷氏はかつて、社長就任後の記者会見で「ホンダらしい魅力的な商品を提供し続けたい」と決意表明した。しかし600万台以上の四輪車販売を目指した拡大戦略は順調とはいかなかった。四輪事業の売上高営業利益率は1.5%前後(2020年3月期)に沈み、現実には工場閉鎖などリストラの連続だった。

 ホンダはF1撤退の理由を「カーボンフリー(二酸化炭素など温室効果ガスを排出しない技術)を加速させるため」と説明しているが、リストラ策の一環という面は否定できないだろう。

「ホンダらしさ」とは何か

 かつてF1人気は日本でも空前絶後だった。日本GP開催時は全国からファンが鈴鹿サーキットに集まり、観客席はアイルトン・セナの母国であるブラジル国旗を振る日本人で埋め尽くされた。

 テレビでもゴールデンタイムでF1中継を放送。1991年の日本GPは視聴率20%を超えた。テーマ曲であるT-スクウェアの『TRUTH』は、今もファンの耳に残る。

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