ライフ

印刷博物館【3】活版印刷体験の壇蜜 手引き印刷機に「お、重い」

『木製手引き印刷機(複製)』原資料所蔵:プランタン・モレトゥス博物館(※印刷実演は現在休止中)

『木製手引き印刷機(複製)』原資料所蔵:プランタン・モレトゥス博物館(※印刷実演は現在休止中)

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜。日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都・文京区の印刷博物館の第3回。2人が「印刷工房」で活版印刷の体験をする。

壇蜜:お、重い。ハンドル操作に相当な労力が……。

山下:インキをつけハンドルを引く人と紙を抜き差しする人と分業で作業をする手引きの印刷機です。現存する最古の木製印刷機のレプリカで1600年頃に作られたものとされています。

壇蜜:印刷工房の活版印刷体験は卓上型でコンパクトながら、やはりインキをつけて刷る工程には力が要りますね。1文字1文字、活字を手に取って組んでいく作業はとても新鮮です。

山下:今は活字ときくと印刷された文字をイメージしますが、本来は文字が刻印された鉛の塊が活字なのです。活版印刷は500年ほど文字印刷の主流を担い、昭和の時代まで盛んに行なわれてきました。この貴重な文化を絶やさず、守っていくことは意義があります。

壇蜜:フラットな印刷物に慣れていますが、活版印刷で刷られた文字にはへこみがあって独特の風合いが感じられ、刷られたばかりの文字からはインキがほのかに香ってきます。

 ここ印刷博物館にある印刷工房は失われつつある活版印刷を保存して、後世へ伝承していく場所なのですね。工房での体験を通じて文字という存在に親しみが増しました。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●印刷博物館
【開館時間】10時~18時(最終入館は閉館30分前まで)
【休館日】月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替え期間
【入館料】一般400円
【住所】東京都文京区水道1-3-3トッパン小石川ビル

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年4月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

志穂美悦子さん
《事実上の別居状態》長渕剛が40歳年下美女と接近も「離婚しない」妻・志穂美悦子の“揺るぎない覚悟と肉体”「パンパンな上腕二頭筋に鋼のような腹筋」「強靭な肉体に健全な精神」 
NEWSポストセブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《還暦で正社員として転職》ビッグダディがビル清掃バイトを8月末で退職、林下家5人目のコンビニ店員に転身「9月から次男と期間限定同居」のさすらい人生
NEWSポストセブン
鷲谷は田中のメジャーでの活躍を目の当たりにして、自身もメジャー挑戦を決意した
【日米通算200勝に王手】巨人・田中将大より“一足先にメジャー挑戦”した駒大苫小牧の同級生が贈るエール「やっぱり将大はすごいです。孤高の存在です」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された佳子さま(2025年8月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《日帰り弾丸旅行を満喫》佳子さま、大阪・関西万博を初訪問 輪島塗の地球儀をご覧になった際には被災した職人に気遣われる場面も 
女性セブン
侵入したクマ
《都内を襲うクマ被害》「筋肉が凄い、犬と全然違う」駐車場で目撃した“疾走する熊の恐怖”、行政は「檻を2基設置、駆除などを視野に対応」
NEWSポストセブン
山田和利・裕貴父子
山田裕貴の父、元中日・山田和利さんが死去 元同僚が明かす「息子のことを周囲に自慢して回らなかった理由」 口数が少なく「真面目で群れない人だった」の人物評
NEWSポストセブン
8月27日早朝、谷本将志容疑者の居室で家宅捜索が行われた(右:共同通信)
《4畳半の居室に“2柱の位牌”》「300万円の自己破産を手伝った」谷本将司容疑者の勤務先社長が明かしていた“不可解な素顔”「飲みに行っても1次会で帰るタイプ」
NEWSポストセブン
国内未承認の危険ドラッグ「エトミデート」が沖縄で蔓延している(時事通信フォト/TikTokより)
《沖縄で広がる“ゾンビタバコ”》「うつろな目、手足は痙攣し、奇声を上げ…」指定薬物「エトミデート」が若者に蔓延する深刻な実態「バイ(売買)の話が不良連中に回っていた」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
【美しい!と称賛】佳子さま “3着目のドットワンピ”に絶賛の声 モード誌スタイリストが解説「セブンティーズな着こなしで、万博と皇室の“歴史”を表現されたのでは」
NEWSポストセブン
騒動から2ヶ月が経ったが…(時事通信フォト)
《正直、ショックだよ》国分太一のコンプラ違反でTOKIO解散に長瀬智也が漏らしていたリアルな“本音”
NEWSポストセブン
谷本容疑者(35)の地元を取材すると、ある暗い過去があることがわかった(共同通信)
「小学生時代は不登校気味」「1人でエアガンをバンバン撃っていた」“異常な思考”はいつ芽生えたのか…谷本将志容疑者の少年時代とは【神戸市・24歳女性刺殺】
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン