この豪快なスイングが、ややなりを潜めている(時事)

この豪快なスイングが、ややなりを潜めている(時事)

 ブルペンの投手力では、若手の台頭が著しい阪神、中日に加え、高評価の新人をリリーフに回して守り切る野球を明確にしている広島が一歩リードともいわれる。にもかかわらず連勝して連敗という、相変わらず強いのか弱いのかわかりにくい阪神では、少なくともファンの最大の誤算は、スーパールーキー・佐藤輝明がオープン戦のような圧倒的な存在感を見せられていないことだろう。開幕戦でプロ初打点、2戦目でバックスクリーンにプロ1号を叩き込んだあたりまでは良かったが、その後は凡打の山どころか、相手バッテリーに手玉に取られる三振が目立っている。6戦目の広島戦で久々に快音を響かせて2号ホームランを放ったが、今の佐藤をどう評価すればいいのだろうか。シーズン前から佐藤を高く評価していた元阪神監督の藤田平氏は、新人ならではのコンディション調整の失敗があったと見ている。

「オープン戦終盤に調子を落として、それを引きずっていますね。新人だった2019年のオープン戦で結果を残して開幕スタメンを手にした木浪聖也も、開幕すると不振になってレギュラーに定着できなかった。あの時と同じで、オープン戦で注目されて出続けた疲労が蓄積しています。やはり新人ですからね、体力面に課題があるのは明白です。

 疲労は打席での見逃し方に現れています。オープン戦では懐の深いバッティングができていたのに、今は体が前に泳がされている。そのために、ど真ん中を見逃して、振ってはいけないボールを振っています。体が慣れてくれば改善されると思いますが、それまでは打てなくてもいいからフルスイングを続けるべきでしょう」

 明るい性格でチームになじんでいる佐藤だが、不調になってからは追い込まれてボール球を振らされるシーンが目立つ。オープン戦の6本塁打は、すべて2ストライクを取られる前にカウントを取りにくるボールを仕留めたものだった。新人らしい積極的な姿勢を思い出して調子を取り戻せば、ライバルたちには怖い存在になるだろう。

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