全身性ALアミロイドーシスの病理と症状
全身性ALアミロイドーシスは多発性骨髄腫に病態が似ており、治療法も共通点が多い。現在、保険承認されている治療は抗がん剤のメルファラン大量療法+自家末梢血幹細胞移植、悪性形質細胞を標的としたMD療法(メルファランと抗炎症剤のデキサメタゾン併用)の2つだ。
「昨年末、異常タンパクを産生するCD38をターゲットに、その働きを抑制する抗体医薬ダラツムマブの製造承認申請が出されました。欧米の標準治療であるCyBorD療法(シクロホスファミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾン)にダラツムマブを加えれば有効性が増す、と期待されています。また今年中には沈着したアミロイドを溶かす効果が見込めるCAEL-101の治験も始まる予定です」(鈴木センター長)
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)や脊柱管狭窄症と診断された患者の組織を病理検査したら、全身性ALアミロイドーシスだった症例もある。なにより早期発見が治療効果を高める基本だ。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2021年4月16・23日号