ライフ

東洋文庫ミュージアム【1】日本一美しい本棚で壇蜜が驚いた袋とじ

東洋文庫ミュージアム(東京都文京区本駒込2-28-21)

壮大な東洋文庫ミュージアムにはさまざまな蔵書が詰まっている

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜。日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都・文京区の東洋文庫ミュージアムの第1回。2人が“世界一美しい本棚”に圧倒される。

壇蜜:うわぁ……(うっとりと見上げて)、なんて幻想的な空間なんでしょう。

山下:日本一美しい本棚とされる東洋文庫ミュージアムの常設展示「モリソン書庫」です。天井まで蔵書を展示するスタイルは米国のモルガン・ライブラリー・アンド・ミュージアムなどを参考にしているそうです。

壇蜜:中国やチベット、インドなど様々な国に関する本があります。あっ、背表紙に土偶を発見しました!

山下:縄文晩期の遮光器土偶で日本の先史時代に関する本ですね。書庫にある書籍は約2万4000冊。英新聞の海外特派員として北京に駐在したオーストラリア人のG・E・モリソンのコレクションで、東洋にまつわる質の高い資料が揃っています。

 そのコレクションを購入して東洋文庫を設立したのが岩崎弥太郎の長男で三菱第3代社長の岩崎久弥。秀逸なコレクションが世に放出されると学者から聞き、その場で購入を快諾すると約70億円相当をポンと出資したそうです。

壇蜜:なんと豪快な! これだけのコレクションが散逸せずに済んだ学術的貢献は大きいですね。多言語ですが、モリソンさんはすべて読めたのでしょうか。

山下:彼が集めた古い時代の洋本は袋とじをたくさん重ねたような作りで未開封の書籍も多く残っています。

壇蜜:袋とじはグラビアの付録ではなく歴史ある製本文化だったとは……。開かれていない袋とじの中身に好奇心がそそられますね。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●東洋文庫ミュージアム
【開館時間】10時~17時(最終入館は閉館30分前まで)※開館状況はHPにて要確認
【休館日】火曜(祝日の場合は開館し、翌平日が休館)、年末年始、臨時休館あり
【入館料】一般900円
【住所】東京都文京区本駒込2-28-21

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年4月16・23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト