脂肪肝が原因で肝硬変になり肝機能が充分に働かなくなるケースもある

肝硬変を起こした肝臓。脂肪肝が原因で肝硬変になり肝機能が充分に働かなくなるケースもある(写真/アフロ)

 ここで注意したいのが、薬やサプリメントだ。前述したように、肝臓は、体にとって有害か否かを審査し、体に順応できる形に「解毒」する。

「健康のために」と薬やサプリメントをのみすぎていると、逆効果となり得る。

「薬やサプリメントは自然界にはない物質です。それを人間の体にとって害のないものに変換することは、肝臓に相当な負担をかけます」(加藤さん)

 通常の食べ物であっても、食べすぎは肝臓の大きな負担となる。中性脂肪が過剰に蓄積した状態の「脂肪肝」は、ご飯やパン、麺類などの「糖質」の摂りすぎによることがほとんどだ。

 栗原さんが指摘する。

「食事で摂った糖質はブドウ糖に分解され、グリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられますが、余ったブドウ糖はやがて中性脂肪になり、肝細胞の中にたまります。それによって脂肪肝になるのです。国内の50代の女性の3人に1人が脂肪肝といわれています。ヘルシーだと思いがちなフルーツは、脂肪になりやすい果糖が多いため、食べすぎ注意です」(栗原さん・以下同)

 脂肪肝は、放置していると肝硬変や肝臓がんに進行するリスクもある。

 だからといって、度のすぎたダイエットを長期間続けていても、同じく脂肪肝になってしまう。

「健康な人は2~3%の中性脂肪が肝臓に蓄えられています。しかし、急激なダイエットを行うと、中性脂肪がすべて消費された飢餓状態となり、全身の中性脂肪を肝臓に集めて、エネルギーの貯蔵庫としての役割を果たそうと働きます。すると、『やせているのに脂肪肝』という状態になる。
 ダイエットは1か月で500g、4か月で2kg程度を目指しましょう」

 脂肪肝を治すには、生活を改善するしかない。

「中性脂肪がたまっている人は、専門家の指導のもと、2日間ほど『プチ断食』を行うのもいい。脂肪肝が改善するほか、内臓を休めることで機能回復につながり、肝臓のパフォーマンスを最大限に引き出すことが期待できます」(加藤さん)

 前出の古川さんも、1日16時間のプチ断食をダイエットに取り入れていたという。「断食は無理」という人は、食事で改善する方法もある。

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