64kgまで痩せて別人のようになった古川さん
ダイエットの「肝」で、これほど簡単に影響を与えられるとなると、筋肉のように鍛えれば、よりやせやすい体になれるのではないか。そんな期待をしてしまうが、残念ながら鍛えることは難しい。
「現状、肝臓を鍛えて強くなるという検証ができているのは、アルコールに対してのみ。毎日適量のお酒を飲み続けると、肝臓内で『MEOS』という後天的なアルコール分解酵素が増えるため、半年ほどかければお酒に強くなることがわかっています。そのほかの物質に対してはわかっていません」(栗原さん)
ただし、肝臓の能力を最大に引き出して、基礎代謝量を上げることは不可能ではない。
基礎代謝量のピークは10代だが、それ以降はみるみる下がってしまい、体重は増えるものの基礎代謝量は落ちるという悪循環に陥る。筋肉量の減少も要因だが、肝臓をはじめとした内臓の機能が加齢とともに衰えることも大きい。
少しでも肝臓の能力を維持するためには、何より運動が重要だと加藤さんは言う。
「全身の基礎代謝が落ちているのに、肝臓だけ元気なままということはあり得ません。直接的に肝臓を鍛える方法はありませんが、運動をして筋肉量を増やすことで、結果として肝臓の代謝能力を高めることができます」
運動といっても、激しいトレーニングが必要なわけではない。最大の筋肉である太ももの前面の筋肉「大腿四頭筋」を効率的に鍛えればいい。
「ゆっくりと5秒ほどかけて行う『スロースクワット』を1日5回するだけでも効果があります。ただし、たんぱく質が不足した状態で運動をすると、エネルギー不足により逆に筋肉が落ちてしまう。食事量が減る高齢者ほど、積極的にたんぱく質を食べましょう」(栗原さん)
栄養素は、胃や小腸で分解され、血液にのって、肝臓へ運ばれる。