新型コロナウイルスの新規感染者が連日1000人を超え、3度目となる緊急事態宣言が現実味を帯びる大阪。“規制と緩和の反復横跳び”の末に感染拡大が止まらなくなった今、吉村洋文・大阪府知事による見切り発車のコロナ対策の数々に対する批判も多い。
そんな吉村知事に振り回されているのは大阪だけではない。昨年3月、吉村知事は民放のニュース番組で突然、「大阪と神戸の不要不急の往来を自粛してほしい」と発言した。事前調整のないまま、“狙い撃ち”された格好の兵庫県の井戸敏三知事は、その後の会見で「大阪はいつも大げさ。過剰な発言をして、責任は取らない」と不満をぶちまけた。
昨年12月には、大阪府の医療体制に懸念を抱いた和歌山県の仁坂吉伸知事が県のホームページで「大阪の感染の爆発により、和歌山にも火の粉がどんどん飛んできまして、和歌山の保健医療当局も大忙し」と言及した。
感染が拡大した現在、《大阪ぎらい》《吉村ぎらい》が加速している。
吉村知事が勧めるマスク会食に関して、“因縁”の兵庫県・井戸知事は4月2日の会見で、「マスクに食べかすが付いたり、汁が飛んだりするので強制できない」と一蹴し、神戸市の久元喜造市長も4月1日の会見で「いちいち着脱は現実的ではない」と指摘した。
すると吉村知事は4月4日オンラインでの全国知事会で「(マスク会食を)やめるなら代替措置はあるのか?」と反論した。
元読売新聞大阪本社記者でジャーナリストの大谷昭宏氏が指摘する。
「橋下徹さん以来、吉村知事をはじめとする維新には売らなくてもいいケンカを売る傾向があります。しかも維新は、兵庫の井戸知事が退任した後に独自候補の擁立を目論み、井戸知事との対立が深まるばかり。
大阪と神戸の間には武庫川が流れていますが、井戸知事は『維新に武庫川は渡らせない』と戦闘モードです。これももともとは維新の“ケンカ体質”が生んだ対立で、周辺自治体との関係に軋轢を生んでいます」