ナッツは脂質過剰の原因になりやすい(写真/GettyImages)
「地中海食」のまねが冠動脈疾患のリスクに
健康への意識が高い食事でも、脂質の摂りすぎは起こる。望月さんが言う。
「たとえば、『朝はヨーグルトを食べ、サラダにはアボカドを入れて、小腹が空いたらナッツをつまみ、パンにはジャムやマーガリンではなくオリーブオイルをつける』といった食事です。
一見、健康的な食事に見えますが、明らかな脂質オーバーです。そもそも、どんな油脂もすべて、1gあたりの熱量は9kcalもある。糖質は1gあたり4kcalなので、倍以上です。意識して炭水化物抜きダイエットをしている人ほど脂質過剰になる傾向があり、オーバーすれば肥満になります」
成人女性の1日の摂取目安は、調理に使う「目に見える油」が20g程度、食品そのものに含まれる「見えない油」が30g程度といわれる。それを超えたら脂質の摂りすぎだ。
「ヘルシーな食事」の問題点はそれだけではない。
「飽和脂肪酸より『質のいい油』とされるナッツやオリーブオイルに豊富な『一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)』ですが、摂りすぎると冠動脈疾患のリスクとなります」(望月さん)
オメガ9系脂肪酸である「オレイン酸」は肉や魚、アボカドにも豊富に含まれている。つまり、これらの調理やソースにオリーブオイルを使ったり、トッピングとしてナッツを使うと、オレイン酸の過剰摂取となりやすいのだ。
「オリーブオイルやナッツをふんだんに使った『地中海食』は、心疾患を下げる食事法として世界中で注目されました。しかし、具体的に何がいいのかは曖昧で、オリーブオイルやナッツではなく、魚介類を積極的に食べているためではないかという見方もある。いずれにしても、欧州より心疾患による死亡率が低い日本人が参考にする必要はありません。むしろ、まねしたことで、ナッツやオリーブオイルの過剰摂取となるリスクが心配です」(奥山さん)