芸能

劇団四季 劇場、稽古場、客席、あらゆる場所で行われる万全の感染対策

aa

神奈川県・あざみ野の「四季芸術センター」。万全の感染対策のもと、稽古が行われる

 コロナ禍では数多くの業界が多大なダメージを被ったが、とりわけ厳しい状況に追い込まれたのがエンタメ業界。68年もの間、ハイレベルなパフォーマンスを届け続けてきた劇団四季も例外ではなく、「舞台なんて不要不急」という厳しい声も寄せられた。

 昨年は公演回数が半減して50億円近くの損失額を計上し、クラウドファンディングを実施すると、支援金額は2億円を超えた。困窮するエンタメ業界の実情が世に知られても、まだ課題はある。劇場は大勢の人が集まって観劇し、舞台に立つ俳優は当然、マスクをつけて演じるわけにはいかないからだ。代表取締役の吉田智誉樹さんはいう。

「客席で会話や歌唱、飲食をしなければ、劇場は基本的に、クラスターにはなり得ない場所なのです。劇団四季では、出演者が発声する際の飛沫の飛散距離を専門家と調査したうえで、舞台と客席の距離を充分に取り、『キャッツ』などにある、出演者が客席に降りる演出はすべて、大幅に変更しました。

 そのうえで、すべてのお客さまにマスクを必ず着用していただき、上演中の会話や歌唱も避けていただいています。また、すべての出演者には約1か月に1度、PCR検査を受けさせ、劇場での感染が起きないよう、最善を尽くしています」

 そしてついに、2020年5月25日、首都圏の緊急事態宣言が解除された。公演再開を予定していた6つのカンパニー(公演を控えている演目の座組)の中に万が一感染者が出た場合、できる限り幕を下ろすことなく俳優と観客を守るには、どうすればいいか──。

「公演の再開日を2段階に設定し、それぞれ2チームずついる出演者たちを、前半組と後半組に分けました。前半の3カンパニーが稽古場での稽古を終えて劇場に入った後、後半の3カンパニーが稽古場での稽古を開始するといった形です。

 あざみ野(神奈川県横浜市)にある四季芸術センターには、大きな稽古場がちょうど3つあるので、稽古の日にちをずらしたうえで、稽古場も区画分けし、6つのカンパニーが決して交わることのないようにと考えました」

 こうして、劇団四季は昨年6月1日から、厳重な感染対策のもと、稽古を再開することができた。上演の再開は7月14日。奇しくも、創立記念日。前日の13日は、創設者・浅利慶太さんの命日だった。これまで劇団四季数々の名作で舞台に立ってきた牧貴美子さんはいう。

関連記事

トピックス

小島瑠璃子(時事通信フォト)
《亡き夫の“遺産”と向き合う》小島瑠璃子、サウナ事業を継ぎながら歩む「女性社長」「母」としての道…芸能界復帰にも“後ろ向きではない”との証言も
NEWSポストセブン
会見で出場辞退を発表した広陵高校・堀正和校長
《海外でも”いじめスキャンダル”と波紋》広陵高校「説明会で質問なし」に見え隠れする「進路問題」 ”監督の思し召し”が進学先まで左右する強豪校の実態「有力大学の推薦枠は完全な椅子取りゲーム」 
NEWSポストセブン
起訴に関する言及を拒否した大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、ハワイ高級リゾート開発を巡って訴えられる 通訳の次は代理人…サポートするはずの人物による“裏切りの連鎖” 
女性セブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
新体操フェアリージャパンのパワハラ問題 日本体操協会「第三者機関による評価報告」が“非公表”の不可解 スポーツ庁も「一般論として外部への公表をするよう示してきた」と指摘
NEWSポストセブン
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
《広陵高校、暴力問題で甲子園出場辞退》高校野球でのトラブル報告は「年間1000件以上」でも高野連は“あくまで受け身” 処分に消極的な体質が招いた最悪の結果 
女性セブン
代理人・バレロ氏(右)には大谷翔平も信頼を寄せている(時事通信フォト)
大谷翔平が巻き込まれた「豪華ハワイ別荘」訴訟トラブル ビッグビジネスに走る代理人・バレロ氏の“魂胆”と大谷が“絶大なる信頼”を置く理由
週刊ポスト
お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
NEWSポストセブン