停滞期を打破する解決策は「筋肉を細分化した“鍛え分け”」
ここでいう「鍛え分け」とは、筋肉を部位ごとに細分化し、それぞれをターゲットとしたトレーニング種目を取り入れること。ある程度筋トレについて学んだ人であれば、背中、胸、肩というように鍛え分けを行なっている人も多いだろう。しかし、岡田氏の鍛え分けは次元が異なる。
例えば背中であれば「広背筋(こうはいきん)」「僧帽筋(そうぼうきん)」「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」といった具合に、筋肉ごとに分類する。さらにそれを「筋線維(きんせんい)」という筋肉の中に走っている何本もの細胞の集合体の方向によって分ける。肩甲骨の後ろにある僧帽筋であれば「上部」「中部」「下部」といった形だ。加えて「大円筋」「棘上筋(ちょくじょうきん)」「菱形筋(りょうけいきん)」など、目立たない筋肉を狙った種目も取り入れる。
さらに、細分化された部位を、自重、マシン、ダンベルなど方法を変えて鍛えていく。そして重力の方向なども考慮し、負荷のかかる角度を変えながらトレーニングをせよと岡田氏はいう。
なぜここまで鍛え分けるかというと、筋肉は刺激に慣れてしまうからだ。そもそも筋肉が大きくなる「筋肥大(きんひだい)」は、これまで体験しなかった“危機”に直面し、次なる事態に備えて起こる自然現象のようなもの。そのため、毎回同じメニューをこなしていても、大きな効果を得ることができないのだ。
ボディビルダーではない私たち一般のトレーニーが目指すのは、「デカさ」ではなく「カッコよさ」であるはず。だから重量を上げていくのではなく、トレーニングメニューのバリエーションを増やして新たな刺激を与えていくべきーーと、岡田氏は説くのだ。
ボディビルダーである岡田氏自身も、成長が伸び悩んだ時期に細かな筋線維に目を向けることで成績を上げていったという。
この方法であれば、飽きることなく、継続的にトレーニングを続けても「スーツが着られない」というように日常に支障をきたすことはない。「今月はここを鍛えよう」「逆三角形の上のほうが弱いから肩の外側に集中しよう」など、自身の目標を定期的に見直すことも可能だ。自分でカスタマイズするプロセスも楽しめる。
「経験」と「科学」を融合した、カラダづくりの最終結論
「鍛え分け」を導入するトレーニーのために、岡田氏は188ものトレーニング種目を生み出した。それを一冊にまとめたのが、『世界一細かすぎる筋トレ図鑑』だ。
たとえば筋トレの王道、スクワットだけでも、目的が異なる18種類のメニューがある。部位は首やふくらはぎなどマニアックな場所まで網羅され、「烏口腕筋(うこうわんきん)」「前鋸筋(ぜんきょきん)」「縫工筋(ほうこうきん)」など、聞いたこともないような筋肉にも専用のメニューが用意されている。もうページを目で追うだけで、大腿四頭筋が震えてくる!