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前作超えた『ドラゴン桜』、作品ごとに魅力増す阿部寛の“希少性”

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多くのヒット作を生み出している阿部寛

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、4月からスタートしたドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)で主演を務めている阿部寛について。

 * * *
 初回視聴率14.8%と、今クールの春ドラマの中で一番の視聴率となったのは、16年ぶりの続編となった阿部寛主演の『ドラゴン桜』だ。放送前から話題となっていたが面白さは格別。予想以上に見応え十分だったのは、今回のドラマの作りや役柄が、今現在の阿部さんのイメージとぴったり合っていたからだと思う。

『ドラゴン桜』の前作は2005年に放送された。阿部さん演じる弁護士・桜木健二が「バカとブスこそ東大へ行け!」というセリフを吐きながら、偏差値の低い高校の落ちこぼれ学生たちを東大に合格させるというストーリーは、色々な意味で衝撃的だった。今回の続編放送に合わせて深夜に放映されていた前作を、それこそ16年ぶりに見てみた。

 前作はコメディ要素たっぷりの学園ドラマだが、今回は学園を舞台にしたシリアスな社会派ドラマといった印象だ。TBS日曜劇場の『半沢直樹』や、阿部さん主演の『下町ロケット』などヒット作の演出を手掛けた福澤克雄氏が参画しているだけあって、作風にも演出家の個性が出ているという声もある。

 偏差値の低い高校に通う学生たちを東大に合格させるというベースは変わらないが、学園の経営を巡る理事長と前理事長の権力争いや、桜木の指導を受けながらも東大受験に失敗し自殺未遂をした元生徒らが仕掛ける復讐、そしてこの事件により仕事を辞めホームレス一歩手前まで身を落とした桜木の復活とが絡み合い、『半沢直樹』や『下町ロケット』を合わせたような雰囲気もある。学生が抱える背景を前面に見せ、受験を通して一発逆転を狙う下剋上を描いていた前作とはまるで違う。

 阿部さんは前作同様、落ちこぼれの受験生たちに辛辣な言葉を浴びせながらも、親身になって引っ張っていく、温かく包容力のある役を演じている。だが、シリアスな社会派&学園ドラマである続編では、今の阿部寛だからこその演技が光っている。

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