佐藤は糸井の近大後輩でもある(時事)
糸井のように、たまにしか使ってもらえない状態にならないためには、キャンプで決着をつけておかないといけなかった。僕ならそう考えたでしょう。糸井は最初から佐藤と比べられていたのだから、もっと糸井カラーを首脳陣に見せつけておかないとダメだった。オープン戦で佐藤に5本も6本もホームランを打たれてからアピールしても遅い。ライバルがどんなルーキーなのかしっかり見定めて、この部分は絶対に負けていないというアピールをすべきでしたが、そのへんで糸井は油断があったかもしれませんね。ようやくスタメンで使ってもらってホームランを2本打ったのだから、これを続けていくしかない。それくらいベテランにはハンデがあるものなのです。
今の球界では若手とベテランは頑張っているが、中堅が目立たない。僕たちの時代では30代はベテランと呼ばれ、レギュラーでなくなれば引退だった。だから目の色が違ったし、必死に練習しました。今の選手のようにベンチでハイタッチなんかしませんでした。そんなことをすれば、せっかく打ったのに運気を取られると思ってましたからね。今の30代は昔のルーキーのような扱いです。チームで居場所がなくなっても、トレードで新天地を与えてもらえる。それに甘えていてはダメなんです」
選手寿命が長くなったことで、プロ野球界は10代から40代までが一緒にプレーする時代になった。そのうち親子選手が同時にプレーする日もくるかもしれない。それだけに、世代を問わずレギュラー争いは熾烈になっている。