医療用大麻をどう見る?(写真はイメージ/共同通信社)
船山氏の主張を裏付ける研究報告もある。2016年、大阪大学の木村文隆准教授を中心とする研究グループは、THCがヒトの大脳皮質内の神経回路を破綻させるとの報告を世界で初めて発表した。
「大麻解禁派は『THCの含有量が少なければ大丈夫』と主張しますが、今回議論されているCBDは、簡単な化学操作でTHCに変換できることがWHOでも報告されています。この事実も知っておく必要があります」(船山氏)
この船山氏の見解に前出・前田氏は、「患者の気持ちを無視している」と異を唱える。
「そもそも日本は『麻薬は怖いもの』というイメージが強く、モルヒネなど医療用麻薬の使用量が先進国の中で最も少ないと報告されています。つまり、それだけ患者の苦痛を取り除くことができていないのです」
WHOなどの調査によると、日本のがん患者数や手術件数などから算出した医療用麻薬の“必要量”に対し、消費量はわずか15.54%。これは米国の約40分の1の量だという。
※週刊ポスト2021年6月11日号