今年のように梅雨入りが早いと、体が天候の変化に追いつけず、自律神経が乱れやすいため、気象病が出ることが多い。さらに、このコロナ禍も、気象病に拍車をかけているという。
「長い自粛生活で、空調が完備された部屋にこもらざるを得なくなって、体が天候の変化に対応しづらくなっているので、自律神経が乱れやすくなっています。運動不足や生活習慣の乱れ、慢性的なストレスも、気象病を悪化させる要因です」
気象病の症状は多岐にわたり、そのすべてが、その人特有の“過剰なストレス反応”だという。
「頭痛ひとつとっても、頭が鋭く痛む片頭痛や、頭全体が締めつけられるように痛む緊張型頭痛などがある。また、首や肩の痛み、めまい、耳鳴りのほか、動悸、吐き気、むくみ、下痢、便秘、腰痛、ぜん息、発熱、精神的症状(気持ちが落ち込むなど)、更年期障害の症状などさまざまです。そのため、自分が気圧の変化に敏感だということを自覚していない人も珍しくありません。
さらに、古傷や手術痕の痛みが出たり、リウマチや歯周病の症状が悪化する場合もあります」
症状が出るタイミングも人によって異なり、雨が降り出してから症状が出る人もいれば、天気が崩れる前に症状がひどくなり、雨が降り出してからは痛みがなくなるということもある。
「台風などで気圧が急激に下がる場合、低気圧が上陸する前から、小刻みな波のように気圧の変化が起こります。人によっては、この細かな変化に反応し、台風上陸の1~2日前に症状が出ることも珍しくありません。
また、低気圧のときだけでなく、天気が回復して気圧が上がるときにだけ症状が出る人もいます」
気象病は、症状もタイミングも千差万別。だからこそ、「なぜか体調が悪い」ときは、気象病を疑って、早めの対策を取るべきだ。
気象は耳を温めて治す!
人それぞれ症状が異なるだけに、対策も自分に合ったものを探す必要がある。代表的なのは、冷却シートやコーヒーなど。
「これらは、ズキンズキンと鋭く痛む、片頭痛があるときに有効です。冷却シートを首元に貼ったり、カフェインを摂取したりすることで、低気圧で拡張した血管を収縮させて、一時的に痛みをやわらげることができる。ただし、コーヒーは夕方以降に飲むと睡眠の質を下げ、結果的に自律神経が乱れる恐れがあるので、飲むなら朝から昼間にしましょう。
一方、緊張型頭痛の場合は、冷やしてはいけません。首をホットタオルなどで温めることで、痛みが軽くなります」