元テレビ共演者のサマー・ゼルボスさんもトランプ氏のセクハラを提訴している(EPA=時事)

元テレビ共演者のサマー・ゼルボスさんもトランプ氏のセクハラを提訴している(EPA=時事)

 バイデン大統領は逃げの一手だ。この問題については、女性のジェン・サキ首席報道官ではなく、男性のアンドルー・ベイツ副報道官が記者会見に現れて、「司法省はホワイトハウスとは一切協議していない。バイデン政権は司法省の独立性を尊重する」と発言した。トランプ氏には、2016年の大統領選の運動員だった女性が起こしたセクハラ訴訟をはじめ複数のセクハラ裁判が待ち受けている。バイデン政権の司法省が「大統領は訴追されない」という立場ならば、それらの訴訟も逃れられる可能性が出てきた。

「セクハラでトランプ氏を追及した女性はこれまで25人にのぼる。その大半はカネで解決してきたが、今回の司法省の決定は他のセクハラ裁判や告発から逃げ切る助けになるだろう」(保守系メディアの政治記者)

 バイデン氏にしてみれば、ここでトランプ氏に恩を売っておけば、政権を悩ますアメリカの分断も少しは収まると思っていたのかもしれない。

「その考えは甘い。トランプという男には感謝の念がない。今回の決定は当然だと思っているだろうし、この程度でバイデン攻撃の矛先が鈍ることはないだろう」(リベラル紙コラムニスト)

 民主党内もざわついている。急進左派のアレキサンドリア・オカシオ=コルテス議員は、「バイデン政権の化けの皮がはがれた。日和見のガーランドを司法長官にすること自体が間違いだった。官僚組織を守る体質は保守派と同じだ」と手厳しい。彼女は若い女性層で圧倒的な人気を博している。来年の中間選挙でも欠かせないチアリーダーだけに、バイデン氏にとっては敵に回したくないはずだ。

 バイデン氏が手負いのトランプ氏に送った「オリーブの枝請願」(アメリカ独立戦争当時にアメリカ議会からイギリス国王に出された植民地支配の改善を求める請願のことで、イギリスはこれを拒否した)は、受け入れられないどころか党内の反発まで招いてしまった。

■高濱賛(在米ジャーナリスト)

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」