国内

伊勢神宮「天皇からのお供え物」を元職員がヤフオクに出品していた

大変貴重なお供え物が…(写真/共同通信社)

大変貴重なお供え物が…(写真/共同通信社)

 皇祖神・天照大御神を祀る伊勢神宮では、重要な祭礼の際に天皇から勅使が遣わされ、「幣帛(へいはく)」という絹織物などの供物が奉納される。

「幣帛は供物の総称なので様々な物がありますが、『帛』とはもともとは布地を表わした語で、金銭のなかった古代、神に祈りを捧げる際には織物が貴重品として供えられていたことに由来します」(神社関係者)

 その貴重な幣帛が、ネットオークション「ヤフオク!」に出品されていることが発覚した。「伊勢神宮 超希少 撤下(お供えした後の)幣帛」という商品名で、説明欄にはこうある。

〈伊勢神宮の撤下幣帛になります。紙に巻かれているのは正絹で白、黒、緑、黄色、赤。(中略)神嘗祭の準備でそれまでのを下げて、祭祀職員に配られます。値引きは可能です〉

 即決価格4万2000円で出品されたが、5月26日までに出品は取り下げられている。いったい何があったのか。

「幣帛がヤフオクに出品されていることが神社関係者の間で知れ渡り、問題になったのです。確かに毎年10月に行なわれる神嘗祭で、天皇陛下から奉納された幣帛がお供えが終わった後、職員に配られることがある。職員が幣帛を関係者に譲ることはあるが、天皇陛下から奉納されたものをネットオークションに出品するなど聞いたことがない」(前出・神社関係者)

 出品者は過去にも〈大変希少で、この機会にいかがでしょう〉などのセールストークを添えて「幣帛」を出品し、今年3月には1万7000円、4万円でそれぞれ落札されている。神職の袴、「折櫃(おりびつ)」という祭礼で神饌(神に供える食べ物)を入れる小箱なども出品していた。

「いずれも伊勢神宮の職員しか持ち得ない貴重なもので、しかも発送元は三重県。辞めた職員が出品しているとしか考えられない」(同前)

 記者がオークションを通じて出品者に接触したが、「職員か」と聞いたところやり取りが途絶えてしまった。出品の件について、伊勢神宮は「こちらでは確認が取れませんので回答は差し控えさせていただきます」とし、幣帛の取り扱いについては「大切なもので、神様に関することですので、無闇に我々のほうから説明はしておりません」(広報室)と回答。

 大切なものであればこそ、無闇に売り買いされるような事態は避けてほしいものだが。

※週刊ポスト2021年6月18・25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン