スポーツ

バレー「ミュンヘン金」の松平康隆監督が教えた「人間としてのマナー」

松平康隆監督からの言葉を大古誠司氏が振り返る(写真/共同通信社)

松平康隆監督からの言葉を大古誠司氏が振り返る(写真/共同通信社)

 1964年の東京五輪で銅メダルを獲得したものの、“東洋の魔女”の金メダルの陰でまったく注目されなかった男子バレーボールチーム。8年計画で1972年ミュンヘン五輪金メダルを目指した松平康隆監督が発掘し、「世界の大砲」のキャッチフレーズをつけた長身アタッカーが大古誠司だった。大古氏が振り返る。

 * * *
 東京五輪後、コーチから監督に就任した松平さんは大型選手をかき集めていました。身長194センチの横田忠義、森田淳悟、私の「“94トリオ”で世界を目指す」と公言していました。

「バレーだけが強くてもダメだ。世界一になるのに相応しい人間でなければいけない」というのが松平さんの持論で、まず教えられたのが人間としてのマナー。

「世界を舞台に戦うには、国際感覚を身につけていなければ、相手に対して失礼だ」と言われ、ナイフやフォークの使い方といった一般的な食事の作法はもちろん、相手国特有の礼儀やマナーも覚えました。

 合宿では午前中に英語、夜にはライバル国の歴史や国民性、経済、政治の勉強もしました。海外遠征では、松平さんが「名所旧跡を回ってその国の勉強をしよう」と言って、全員で訪れました。

 世界一になるためには、人間としても超一流でなければいけない。

 1968年のメキシコ五輪では銀メダルを獲りましたが、松平さんは「金メダルが獲れないのは、金メダルに相応しくないからだ」と。金メダルに相応しいほどには、我々が成長できていなかったということです。

〈一方で松平は、男子バレーの知名度を上げるために自ら企画を持ち込み、ミュンヘン五輪までの4か月間を追うリアルタイムのドキュメントアニメ『ミュンヘンへの道』(TBS)を実現させた。そこには逆立ちで9メートル歩いたり、コーチがボールに紐をつけて鎖鎌のようにぐるぐる回すのをマット上に伏せた選手がジャンプして避けるなど、奇抜な練習風景が描かれていた〉

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン