僕は逆立ちが苦手でしたが、コート幅の9メートルを逆立ちで歩けなければチームから追い出すと言われたし、同い年の横田や森田がやるから、頑張るしかない。その頃はなぜバレーボールに逆立ちが必要なのかと思っていましたが、全員にフライングレシーブを習得させ、徹底的に球を拾わせた。空中に飛んでレシーブした時に受け身を取るには腕の力を鍛えることが必要だったんです。
松平さんは時間差攻撃やBクイック、Cクイックといったいろいろな技を生み出しました。森田が「一人時間差」を得意としていたように、選手が自分なりの表現、自分にできることを探すという指導も受けていました。
金メダルを獲った時にチーム全員で松平さんを胴上げした瞬間は、まさに“松平一家”にとって8年間の集大成でした。
※週刊ポスト2021年7月2日号