同年、未成年女性との不適切な関係が発覚した小出恵介。彼が出演するはずだったドラマ『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)に、現在は主演クラスの俳優となった、賀来賢人が代役を努めた。現在、賀来の振り幅が広すぎる活躍は、周知の通りだ。
比嘉は今クール2作で主演
最近では天下のNHK大河でも、衝撃的な薬物事件による代役騒動が勃発してしまった。2018年の『いだてん』では、ピエール瀧が出演半ばで逮捕によって、役を降りた。そして2019年の『麒麟がくる』に出演予定だった、沢尻エリカも同じく。逮捕時点で、すでに収録がかなり進んでいたとされる中、一度は“女優の色”がついた役に挑んだのが川口春奈だ。撮り直しという緊張感の漂う現場で見事に演じきり、そして2021年の春ドラマ『着飾る恋には理由があって』(TBS系)では主演女優に選ばれている。人気は着実に上がった。
ごく一部ではあるけれど、今まで起きた芸能人の降板騒動をこうして並べてみると、急遽代役を演じることは大きなチャンスでもある。もちろん何人ものスタッフ=目利きたちによって、精査され、選ばれた人たちなのだから実力はお墨付き。だからこそ、当初予定されていたキャスティングの人気を超えて、実力を発揮するのもうなずける。
そして冒頭で紹介した比嘉愛未も、これから壁がやってくる。収録現場も、世間にもインパクトのある“深キョン”主演のイメージが先行して、良くも悪くも騒がれることになる。でもそれは裏を返せば、放送当初から注目度が高まっているという利点だ。
加えて彼女の場合、ラッキーな(?)ことに現在放送中の『にぶんのいち夫婦』(テレビ東京系)では、夫に不倫疑惑のある妻を主演している。そして『推しの王子様』が始まれば、ドラマ界では非常に珍しく、同クールで主演作が放送されることになる。来年は比嘉旋風が吹き荒れているかもしれない。
【プロフィール】こばやし・ひさの/静岡県浜松市出身のエッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター。これまでに企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊以上。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。