新型コロナウイルスのワクチンを接種する河野太郎規制改革担当相(時事通信フォト)

新型コロナウイルスのワクチンを接種する河野太郎規制改革担当相(時事通信フォト)

 千葉県北西部の高齢者介護施設でも、ワクチン接種済みの高齢利用者と、そこで働く未接種の若い職員の間でトラブルが起きていた。施設職員の富田茜さん(仮名・20代)が打ち明ける。

「ホームを運営する医療法人で確保できたワクチンの量が少なく、まずは利用者と職員の一部が優先的に接種をしたんです。若い人を差し置いてごめんね、と涙ぐむ利用者もいて、私たちも頑張らなければと奮起していたんです」(富田さん)

 ところが、利用者のほぼ全員のワクチン接種(1度目)が済むと、空気は一変したという。

「一部の利用者さんが、ワクチンを接種していない職員が怖いと言い始めました。懸命に感染対策をしていても、完全にバイ菌扱い。若い職員の中には、持病があったり、アレルギー持ちなので副反応が怖くて打てないという子もいるのに、そういった事情も受け入れてくれない。ワクチン接種が始まれば、みんなで安心できる、と思っていましたが現実は甘くありません」(富田さん)

 高齢者への接種完了に目処が立ち、今後は若者に優先してワクチン接種を行うと発表している東京都新宿区などの一部自治体もあるが、ここでも「分断」が起きていたと話すのは、ワクチン接種のコールセンター関係者だ。

「若者を先に打って、一番金を生み出す中年世代はほっとくのか、というお叱りの声がちらほら聞こえてくるようになりました。以前は高齢者だけずるい、という意見も多かったのですが、変化が出てきました」(コールセンタースタッフ)

 ワクチン接種は当初の想定を上回るスピードで進んでいると報じられており、政府も「希望者は全員打てる」と繰り返しアナウンスをするが、誰が先なのか、自分は損をさせられていないか、という不満が、あちこちで噴出している。確かに、接種が進めばいずれ消えゆくかもしれないが、これらを感情論だからと放置しておいてよいものだろうか。気持ちを無視した施策は、たとえそれが遂行されたとしても、コロナ収束後にも禍根を残すことにもなりかねない。社会不安に繋がりかねない不満を、今のうちに打ち消しておく術はないのか。

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