57年ぶりに関西の球団同士の日本シリーズが見られるか──リーグ首位を走る阪神とオリックスに気の早いファンは胸を躍らせている。実際に“ナニワ対決”が実現すれば、前回(1964年の阪神vs南海)以上の盛り上がりが期待される。
というのもオリックスと阪神の間には、深い因縁があるからだ。デイリースポーツ元編集局長の平井隆司氏が語る。
「現在は阪急阪神ホールディングスで同じグループ会社ですが、オリックスの前身の阪急と阪神は、過去に関西プロ野球の盟主の座をめぐって激しく争いました。
阪急には、地元出身の有力選手である江夏豊や岡田彰布のドラフト争奪戦で阪神に敗れた遺恨もありました。阪急の身売りで打倒阪神の夢は潰えましたが、阪急ブレーブス以来のオールドファンは、阪神タイガースを倒して日本一になることが今でも悲願です」
過去の宿敵関係だけでなく、近年の「日陰者だった歴史」もオリックスファンの熱量を上げる。
「同じ関西のチームといえども、人気は阪神が絶大です。オリックスが交流戦の優勝を決めた翌日も、7年ぶりの単独首位となった翌日も、在阪のスポーツ紙の一面を飾ったのは阪神ばかりだった。在阪テレビ局も同様で、甲子園の阪神戦は地上波で毎日のように生放送されるが、京セラドームのオリックス戦はNHK総合がごくたまに生放送する以外、地上波では深夜の録画放送が関の山。臥薪嘗胆を胸に刻んでいるファンも少なくない」(在阪スポーツ紙デスク)
そもそも関西では、オリックスファンだと公言することすら憚られるという悲しさもあるという。
「関西は阪神ファンが圧倒的に多く、昔からオリックスファンを公言しているタレントは、ハイヒール・モモコとたむらけんじ、あとはますだおかだの岡田くらいですよ。得意先では『昨日のタイガースは強かったですね』が恒例の挨拶。オリックスファンは、すっかり肩身が狭い」(大阪に住むオリックスファンの男性)
そうした積年の恨みを晴らす場こそ、念願の直接対決にほかならない。
「阪神と日本シリーズで直接対決するとなれば、オリックスファンが今までにない盛り上がりを見せるのは間違いない。
とくにオリックスから阪神にFA移籍した糸井嘉男(39)や西勇輝(30)は、移籍した当初はオリックスファンから温かい目で見守られていましたが、今回は京セラドームで大ブーイングを浴びるかもしれません」(前出・在阪スポーツ紙デスク)