国内

変異株「ラムダ株」が南米で猛威 「最凶」といわれるその感染力とは?

(写真/アフロ)

南米で猛威をふるっているラムダ株。ペルーの街中には、医療用の酸素ボンベを待つ人で溢れる(写真/アフロ)

 南米・ペルーでは、2020年8月をピークに減少していた新型コロナウイルスの感染が今春に再拡大。感染者数は200万人を超え、人口10万人あたりの死者数は世界最多の500人以上に達している。公共機関では、二重マスクとフェイスシールドの着用が義務化された一方、首都リマでは治療用の酸素ボンベの不足が深刻化している。

 その余波は隣国にも及んでいる。ボリビア・コチャバンバ在住のボリビア人女性看護師が本誌・女性セブンの取材に語る。

「人口約180万人のコチャバンバでは、1日平均850人の患者が発生しています。医療用酸素の消費量が通常時の4倍に達し、病院では入院できる患者数の半分しか受け入れられない状況になり、ガスの補充に病院を訪れたボンベメーカーの職員が群衆に取り囲まれる事件が起きました。

 人工呼吸器の数が足りず医師らが手動で人工呼吸を行い、自宅療養の感染者を家族から隔離するため、路上の車中やテントで寝泊まりする感染者も少なくない。感染防止で遺体の火葬が義務化され、市内に2つしかない火葬場は患者が死んでから4日待ちになるほど混雑しています」

 その原因とされるのが、ペルーを起源とする変異株「ラムダ株」の猛威だ。ペルーのカエタノ・エレディア大学の分子生物学博士であるパブロ・ツカヤマさんが指摘する。

「昨年12月に確認されたラムダ株はペルーの全症例の1%未満でしたが、急速に拡大して今年5月には80%を超えました。現在の感染者は概ね1日2500人ですが、ピーク時には1日約1万人を記録したほどです。ペルーは専門家が少ないため詳細な分析が難しいですが、昨年半ばの第1波に比べて、ラムダ株は2倍のスピードで重症化が進むという報告があります」

 南米を恐怖に陥れたラムダ株とはいかなるものか。

 血液内科医の中村幸嗣さんは「ひとつの大きな特徴はラムダ株はデルタ(インド)株と同程度の感染力を持つといわれ、感染者の体内のウイルス量が多いこと」だと指摘する。

「日本のコロナ専門病院からの報告ではデルタ株に感染した有症者にPCR検査をすると、ウイルス量を測るCt値(※)はいままでになかった一ケタ台のことがあるといいます。従来株などであれば通常、Ct値は大体10以上で検出されています。Ct値はウイルス量と逆相関し、1下がるごとにウイルスが倍に増えます。例えば従来株がCt値12で検出、ラムダ株がCt値8で検出されたとすると、ラムダ株も従来株のおよそ16倍のウイルス量ということになります」

【※Ct値/PCR検査の際の「ウイルスの増幅回数」のこと。ウイルスはごく少ない量なので増幅させないと検出できない。Ct値が1つ下がると、検体中のウイルスは2倍、4倍、8倍と乗数的に増幅する。つまり、検出時のCt値が少ないほどウイルス量が多いといえる】

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン