ワクチン接種後に亡くなった人たちのデータを分析(時事通信フォト)
なぜ、ワクチン接種で血小板減少症が生じるのか。「あくまで仮説ですが」と断ったうえで岡田さんが語る。
「ファイザー製とモデルナ製のワクチンは、遺伝子の設計図を体内に打ち込む『mRNAワクチン』です。そのワクチンを接種すると細胞内にウイルスのスパイクたんぱく質が形成され、それが体内の免疫反応を引き起こします。従来は安全だと考えられていたスパイクたんぱく質が血小板の細胞表面にある『糖鎖』と呼ばれる突起を切断してしまい、その免疫細胞が血小板を『異物』とみなして攻撃してしまう。それによって血小板が減少するというメカニズムが考えられます」
mRNAワクチンは、新型コロナで初めて人類が接種したワクチンのタイプなので、副反応のメカニズムがはっきりしないことも不気味だ。
改めて554例の死因を見ると、脳出血(18人)、くも膜下出血(16人)と頭蓋内出血が目立つ。
「それも血小板減少症が関係しているかもしれません」
と指摘するのは室井さん。
「頭蓋内出血のリスクはワクチンの治験段階ではあまり報告されませんでしたが、実際には接種後に脳出血やくも膜下出血で亡くなった人が問題になっています。ワクチン接種後に血小板減少症が生じて血が止まりにくくなり、頭蓋内出血が重症化した可能性があります」(室井さん)
アメリカ・ペンシルベニア州に住む65才男性は、モデルナ製のワクチンを接種した後、重度の血小板減少症を発症し、その後に脳症を発症して死亡したと報じられた。男性には慢性的な高血圧と高脂血症の既往歴があったという。室井さんは、その男性のような生活習慣病に注意を促す。
「生活習慣病は動脈硬化が進み、血液が凝固しやすいので、血を固まりにくくする抗凝固薬をのむケースが多い。そうした人がワクチン接種で血小板減少症を起こせば、ますます出血が止まりにくくなって、くも膜下出血や脳出血のリスクが増す恐れがあります」
7日の専門部会で厚労省は、6月27日までに報告された453件のうち、7件の死亡例について、「ワクチン接種とは無関係」と評価。だが逆にいえば、その他の死亡例については、接種との関連が不明なままだ。岡田さんが指摘する。
「ワクチンは予防のために接種するのであり、予防のためのワクチンで人が亡くなることは最大限の努力で防がねばなりません。今回、厚労省が接種と血小板減少症が関連する可能性を認めたのは一歩前進であり、今後もさらなる安全性の検証が求められます」
ワクチンの安全性にも「証明書」が求められている。
※女性セブン2021年7月29日・8月5日号