芸能

トランスジェンダーの建築家・サリー楓が語る「恩師」「社会とLGBT」

『息子のままで、女子になる』主演の建築家・サリー楓さん(提供写真)

ドキュメンタリー映画『息子のままで、女子になる』が話題の建築家・サリー楓さん(提供写真)

 当事者として、LGBTに関する情報発信を精力的に行うことで注目を集めているトランスジェンダーの建築家・サリー楓(27)。6月に公開されたドキュメンタリー映画『息子のままで、女子になる』(東京、名古屋、大阪ほか全国順次公開)も話題を呼んだ彼女が、自身の読書遍歴と哲学を語った。

 同映画は、ビューティーコンテストへの出場や講演活動など、サリー楓がトランスジェンダー女性として生きる姿を収めたドキュメンタリー作品。撮影開始時に大学院で学んでいた彼女は、現在はファッションモデル/建築デザイナーとして活動している。

 映画の序盤で目を引くのが、本棚に『ゲンロン6 ロシア現代思想I』やアドルフ・ヒトラーの『我が闘争』といった哲学・思想系の人文書が置かれているシーンだ。一見するとビューティーコンテストとも建築とも無関係に思えるこれらの書籍について、サリー楓はこのように説明する。

「建築家にとって哲学や思想はとても重要なんです。特に都市のように大規模な建築になると思想など大きな文脈の中で議論せざるを得なくなるので、その時代に合った社会状況や思想を取り入れながら議論されることが多いんですね。たとえば、これまでもジル・ドゥルーズが何度も建築学の人の間で読まれています。

 本棚に置いてあった『我が闘争』は、当然ですがヒトラーのような考え方に賛同しているわけでは全くなくて、思想の持つネガティブな側面にもしっかりと向き合わないといけないと思って読みました。歴史は条件が揃えば繰り返してしまうものなので。

 読書は好きなので色々と読んでいるんですが、関連するものですとハンナ・アーレントの『エルサレムのアイヒマン』や『全体主義の起源』で書かれていることって、今のダイバーシティを取り巻く状況と無関係だとは思えません。個々の人々は正しいことをしているだけなのに、それが組み合わさることでネガティヴな領域を生んでしまうことがある。そういうシステムの問題は、本当のダイバーシティを実現するうえでも解決しなければならない重要な論点だと思っています」(サリー楓)

関連記事

トピックス

「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
人の出入りが多く流行っていたという火災があったサウナ店
《夫婦が閉じ込められ…》月額39万円の高級サウナ店での火災でサウナーたちに広がる不安 彼らはなぜ\\\"避難シミュレーション\\\"を議論するのか
NEWSポストセブン
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
世間を驚かせたメイプル超合金のカズレーザー(41才)と二階堂ふみ(31才)の電撃“推し婚”
【2025年・有名人の結婚&離婚を総決算】何かと平和な「人気男性タレントと一般女性の結婚」、離婚決断が女性からの支持につながった加藤ローサ
女性セブン
米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
《明暗クッキリの女子ゴルフ》川崎春花ファイナルQT突破で“脱・トリプルボギー不倫”、小林夢果は成績残せず“不倫相手の妻”の主戦場へ
週刊ポスト
超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”だった高橋麻美香容疑者
《超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”の素顔》「白血病が再発して余命1か月」と60代男性から総額約4000万円を詐取か……高橋麻美香容疑者の悪質な“口説き文句”「客の子どもを中絶したい」
NEWSポストセブン