この頃から敵役は単なる悪者として描かれなくなる。それには、当時起こった事件が影響しているという。2001年『仮面ライダーアギト』から仮面ライダーシリーズの監督を務めている田﨑竜太さんが説明する。
「2001年に起きた9.11のアメリカ同時多発テロです。当時はアメリカが正義で、テロを起こした側は悪という印象がありましたが、実は、テロを起こした側にも彼らなりの正義があったはずです。でなければ命をかけないでしょう。複数ライダー制にしたのも、正義の形はひとつじゃないという思いがあったからです」
その後も時代に即した物語の中で、苦悩するイケメン主人公の人気も上昇。新たにイケメン俳優目当てで見始める人も増え、2006年には水嶋ヒロ(37才)主演の『仮面ライダーカブト』が爆発的に注目を集め、それ以降「仮面ライダー」は、若手俳優の登竜門としていっそう脚光を浴びるようになっていく。
ヒーローという意識を持ち続けたい
現在放送中の最新作『仮面ライダーセイバー』で主人公の神山飛羽真を演じるのは、内藤秀一郎(25才)だ。今後の活躍も期待される内藤は、こう話す。
「生誕50年という素晴らしい節目に、自分が主役を演じていいものか、ずっと不安でしたが、劇場版の撮影がオールアップしたときから誰一人欠けることなく最後まで駆け抜けたことが自信になりました。ぼくの演じる神山飛羽真は無類の本好き。『世界と本を守るために戦う』ことが作品のキーワードになっています。劇場版では歴代の仮面ライダーやスーパー戦隊と共演しましたが、なかでも会うだけで緊張したのは藤岡弘、さん。仮面ライダーをここまで大きくしたかたなので尊敬しています」
取材・文/廉屋友美乃 取材協力/前川亜紀
※女性セブン2021年7月29日・8月5日号