廣田氏は「売れてない芸人は“生き様”さえコンテンツになる」と語る
「このシリーズのはじまりは、芸歴18年の高校ズ・秋月くんと20年以上前から知り合いで、彼が大学を中退して養成所に入る頃からほんの少しながら見てきたので、現在も芸人を続けているその生き様を書いてもらいたい、と依頼したことでした。
秋月くんの生き様を読んでみたいと思った理由の1つは『羨望』です。若い頃に見た夢を、いつまでも、誰に何を言われようと追い続ける姿はシンプルに『かっこいい』と思いました。それは誰もが経験できることではありません。
もう1つは『共感』です。僕自身も独立して事業をやっていてうまくいかないことが多々ある中で、苦境の中でもがきながら、笑い飛ばして進もうとする姿に強く共感します。これは芸人や事業主にかかわらず、多くの方が共感するものではないでしょうか」
そして、“売れてない”からこそ、テレビで消費されていない面白さがあるという。
「売れている芸人さんのコンテンツは『芸』である一方、売れてない芸人さんは『芸』に加えて『生き様』さえも強力なコンテンツになると、本の制作を通じて確信しました。
一般的に芸人さんは『ネタ』で評価されるものだと思います。でも、それ以外の評価軸があってもいいはずで、生き様をテキストで面白おかしく伝えることができれば、テレビ局とも、プロダクションとも被らない“切り口”で芸人さんの魅力を引き出すことができると思うのです。
最初はシリーズ化をするつもりは全くありませんでしたが、秋月くんの本をつくって、他の売れてない芸人さんの生き様も知りたい、読みたいと思い、お笑い業界横断でプロダクションを巻き込んで、シリーズ展開をしようと決めました」