21年ぶりに猛暑日を記録

 大会組織員会、北海道、札幌市はマラソン・競歩について、沿道での「観戦自粛」を呼びかけている。そのほか、スタート、フィニッシュ地点の大通公園周辺のほか、マラソンコース途中の道庁赤れんが庁舎の前庭を立ち入り禁止区域にするなどの対策を発表している。

 マラソンの会場がIOCの判断で東京から札幌に一方的に変更されたのは、熱中症対策のためだった。東京よりも涼しい札幌なら大丈夫だろうという判断だったのだろう。

 ところが、今年の札幌は猛烈に暑い。7月19日は最高気温35.0℃に達し、21年ぶりに猛暑日となった。この日、市内では午後5時までに9人が熱中症で搬送されたという。本番当日はどうなるのだろうか。

 ちなみにマラソンのスタート時刻は朝7時である。参考までに7月19日のスタートからゴールまでの時間帯の気温は次の通りだ。

・7時/26.2℃、8時/27.9℃、9時/29.9℃、10時/30.9℃(気象庁のデータ)

五輪史上最大の猛暑に

 あまりの暑さで棄権者が4割を超えた2019年の陸上の世界選手権ドーハ大会の女子マラソンはスタート時間が深夜0時だったにもかかわらず、スタート時の気温は32.7℃だった。さすがに、札幌ではそこまでの悪条件にはならないだろうが、今年の暑さを考えると不安だ。

 競歩・マラソンの開催は8月5日~8月8日だが、例年の最高気温はどうなっているだろうか。

【2019年(最高気温)】8月5日/32.0℃、6日32.4℃、7日/30.4℃、8日/25.0℃
【2020年(最高気温)】8月5日/30.2℃、6日/27.3℃、7日/27.2℃、8日/23.9℃(気象庁データ)

 暑さに加え、両年ともこの間の平均湿度は軒並み70%を超え、90%の日もあったほどだ。このように札幌の8月上旬は意外と蒸し暑いのである。米国のCNNは7月19日、「東京五輪、五輪史上最大級の猛暑に警戒」と報じ、札幌の暑さにも言及していた。

連日、炎天下での試合に不満を漏らす選手が続出(テニス会場/時事通信フォト)

連日、炎天下での試合に不満を漏らす選手が続出(テニス会場/時事通信フォト)

 連日30℃を超える「酷暑五輪」には、選手も不満を隠さない。ロシアのテニス選手ダニル・メドベージェフ選手は「今までで最悪の暑さだ」として試合開始時間の変更を提案し、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)も「彼に100%同意する」と発言したと報じられた。

 42kmや50kmの長丁場を戦うマラソンや競歩では、選手だけでなく、沿道を訪れてしまう観客や警備スタッフらの熱中症の懸念が高まるばかりだ。

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