芸能

八代亜紀「『舟唄』は80歳になっても歌いたい」 阿久悠さんへの感謝

阿久悠さんと『舟歌』の思い出を語る

阿久悠さんと『舟唄』の思い出を語る

 昭和歌謡界の巨匠、阿久悠さん。八代亜紀が1979年に歌って大ヒットした『舟唄』も阿久さんの作詞だ。その八代が、自身の飛躍のきっかけになった同曲の思い出と、阿久さんへの感謝を語る。

 * * *
 今年でデビュー50周年。『なみだ恋』(1973年)で歌手としての幹ができて、それを一回り大きくしてくれたのが、阿久悠先生に初めて書いていただいた『舟唄』(1979年)です。テイチクの当時の社長が、「阿久先生の女心を、八代亜紀に歌わせたい」とお願いされたんです。

 後から聞いた話ですが、先生は何曲も作られたのに社長がどれも違うと言って。そこで出てきたのが、先生が美空ひばりさんを念頭に書いて引き出しにしまわれていた『舟唄』、女心ではなく男心の歌でした(笑い)。

 詞の最初の2行を読んだ時に、ああ、これはいいメロディがつくだろう、大ヒットするだろうと思いましたね。その後もたくさん書いていただきましたが、先生の詞はすべて映画になります。『舟唄』は高倉健さん主演の『駅STATION』のラストシーンで流れますが、たまらなかったです。

 デビュー30周年のコンサートで阿久先生が、「君と出会うために、僕は9年間助走してきたんだ」と言ってくださった時は、本当に光栄でした。デビューから9年間、私に詞を書くのを待ち望んでくださっていたんだと。先生の言葉は全部詞になっちゃう。「演歌が迷子になっている、大通りに戻してほしい」と言われたことも忘れられないですね。

『舟唄』はお客様の反応も特別。海外のコンサートでも、フジロックフェスティバルでも、イントロだけでお客様が「おーっ」となって凄いんです。自画自賛ですが、いまの私が歌う『舟唄』が最高なんですよ。若い頃は男の背中を表現できなかったけど、いまは男になってますもん(笑い)。

 目標は、80歳になった時、若者であふれる会場で幕がふわーっとあがって、ピアノの椅子に座って歌うこと。そうすると若者がシーンとして聴き入るの。最高でしょ。

【プロフィール】
八代亜紀(やしろ・あき)/1950年生まれ、熊本県出身。1971年にデビューし、『舟唄』『雨の慕情』などヒット曲多数。今年でデビュー50周年を迎え、特別企画CD『居酒屋「昭和」』発売中。

取材・文/濱口英樹

※週刊ポスト2021年8月13日号

関連記事

トピックス

(左から)豊昇龍、大の里、琴櫻(時事通信フォト)
綱取りの大関・大の里 難敵となるのは豊昇龍・琴櫻よりも「外国出身平幕5人衆」か
週刊ポスト
セ・リーグを代表する主砲の明暗が分かれている(左、中央・時事通信フォト)
絶好調の巨人・岡本&阪神・サトテルと二軍落ちのヤクルト村上宗隆 何が明暗を分けたのか
週刊ポスト
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《広末涼子逮捕のウラで…》元夫キャンドル氏が指摘した“プレッシャーで心が豹変” ファンクラブ会員の伸びは鈍化、“バトン”受け継いだ鳥羽氏は沈黙貫く
NEWSポストセブン
過去に共演経験のある俳優・國村隼(左/Getty Images)も今田美桜の魅力を語る(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
《生命力に溢れた人》好発進の朝ドラ『あんぱん』ヒロイン今田美桜の魅力を共演者・監督が証言 なぜ誰もが“応援したい”と口を揃えるのか
週刊ポスト
大谷翔平(左)異次元の活躍を支える妻・真美子さん(時事通信フォト)
《第一子出産直前にはゆったり服で》大谷翔平の妻・真美子さんの“最強妻”伝説 料理はプロ級で優しくて誠実な“愛されキャラ”
週刊ポスト
「すき家」のCMキャラクターを長年務める石原さとみ(右/時事通信フォト)
「すき家」ネズミ混入騒動前に石原さとみ出演CMに“異変” 広報担当が明かした“削除の理由”とは 新作CM「ナポリタン牛丼」で“復活”も
NEWSポストセブン
万博で活躍する藤原紀香(時事通信フォト)
《藤原紀香、着物姿で万博お出迎え》「シーンに合わせて着こなし変える」和装のこだわり、愛之助と迎えた晴れ舞台
NEWSポストセブン
川崎
“トリプルボギー不倫”川崎春花が復帰で「頑張れ!」と声援も そのウラで下部ツアー挑戦中の「妻」に異変
NEWSポストセブン
最後まで復活を信じていた
《海外メディアでも物議》八代亜紀さん“プライベート写真”付きCD発売がファンの多いブラジルで報道…レコード会社社長は「もう取材は受けられない」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
NEWSポストセブン