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コロナワクチン「間違った打ち方」で抗体が不十分となるリスクも

ワクチンの筋肉注射には正しい角度もあるという(写真/共同通信社)

ワクチンの筋肉注射には正しい角度もあるという(写真/共同通信社)

 新型コロナウイルスのワクチン接種を終えても安心はできない。いま、「2回目」のワクチン接種を終えた人の感染が相次いで報告されているのだ。「ブレイクスルー感染」と呼ばれる、ワクチン接種後の感染が国内で最初に確認されたのは、今年4月に遡る。感染したのは石川県在住の病院勤務の女性だった。2回目接種の1週間後、別の感染者の濃厚接触者となり、無症状だったが検査したところ陽性が確認されたという。

 同様の事態は海外でも起きている。米ロサンゼルスでは、6月の新規感染者の2割がワクチン接種完了者だった。なぜ接種後に感染する人が現われるのか。日本ワクチン学会理事で長崎大学病院教授の森内浩幸医師が解説する。

「新型コロナワクチンの第一の目的は『感染』を完全に防ぐことではなく、『発症』や『重症化』を予防することです。ワクチン接種をすれば感染しなくなるというのは誤解です。ワクチンの効果は、感染しても無症状で済む、あるいは症状が軽くなる、ということです」

 厚労省の調査により、ワクチンを2回接種した65歳以上の人は、未接種の人に比べて人口あたりの新規感染者数が15分の1にとどまると判明したが、2回接種後もリスクのある行動を取れば、感染する可能性も、周囲に感染させてしまう可能性もあるのだ。

正しい角度は「90度」

 さらに接種現場では、こんな話題が持ち上がっている。都内大学病院で問診を受けた50代男性が語る。

「医師と雑談していたら、『うちはちゃんとしているが、他のところでは筋肉注射の打ち手がヘタなせいでワクチンが体内にしっかり吸収されていない可能性がある』と聞いて驚きました。そんなことが本当にあるなんて、信じたくないです」

 この話について、打ち手不足のためワクチン接種に動員される歯科医らに打ち方の指導をするいつき会ハートクリニック院長の佐藤一樹医師はこう話す。

「私は接種後のコロナ感染や副反応の一部は、間違った打ち方が原因ではないかと思っています。現在、その打ち方を是正するための活動をしているところです」

 背景には日本の予防接種などでは筋肉注射ではなく、皮膚を少しつまんで注射針を刺す「皮下注射」がメジャーであることがある。

「皮下注射に比べて抗体産生がよく、副反応も少ないため、世界では多くのワクチンで筋肉注射がスタンダードです。ところが日本では過去の医療事故がトラウマになったのか筋肉注射を避けてきたため、正しい打ち方を知らない医療従事者が多いんです。

 今回のコロナワクチンは肩の三角筋に針を90度にして注射する決まりですが、日本ではこれまで『筋肉注射の角度は45~90度』と世界基準とは異なる指導がされてきた。

 針を刺す場所も間違えているケースが多い。日本では『肩甲骨の突起の肩峰から下、三横指』と言われますが、指を横にした長さは人によって違う。アバウトな言葉での理解ではダメなんです。実際に触って筋肉の起始部と停止部を確認し、世界の標準である『三角筋中央部の最も筋肉が厚いところ』に刺すのが正しい打ち方です」(同前)

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