実際、コロナワクチンの接種現場でも間違えた打ち方が見られるという。
「都内の病院でワクチン接種をする様子をテレビのニュースで見た時に、医師が40度以下の角度で注射されていたのでヒヤヒヤしてしまいました」(同前)
そう語る佐藤医師自身は「私が指導したベテラン看護師に打ってもらいました」という。
「デルタ株」の場合は?
またこのところ目立つのが、接種後に「変異株」に感染したというケースだ。鳥取県が7月7~20日の県内感染者を分析したところ、感染力が強い「デルタ株」の割合は7割に達していた。そのうち、2回接種を終えた3人の感染例は、すべてデルタ株だった。
世界中でその猛威が伝えられるなか、イスラエルではワクチンを2回打ったとしても「デルタ株感染で重症化する」との説が出ている。
米ウォール・ストリート・ジャーナルは、あるイスラエルの科学者の話として、同国の60歳以上の年齢層で、ワクチンの重症化を防ぐ効果が4月の97%から7月は81%に下がったことを示すデータがあると伝えた(7月29日付)。
米疾病対策センター(CDC)も7月30日、感染力の強い「デルタ株」はワクチン接種を完了した人にも感染する可能性があるほか、従来型よりも重症化する恐れがあるとの内部文書をまとめた。
国際医療福祉大学病院内科学予防医学センターの一石英一郎教授は、接種後も「高齢者は特に注意が必要」と指摘する。
「一般的にワクチン接種で獲得される免疫の力は若い人ほど強く、高齢者ほど弱い傾向があります。一般的な脳の記憶と同じで、子供の頃に受けたワクチンは高齢になっても働きますが、新しいワクチンを打っても、若い人ほど免疫記憶が働かない可能性があります」
ワクチン接種を終えたからと安心するのではなく、引き続き基本的な感染防止策を続けていく必要があるというのだ。
※週刊ポスト2021年8月20日号