「以前に利用していたところは、会議室はあっても、利用者が多く予約が取りにくくて困っていました。現在は個室のシェアオフィスを利用しているので、すぐ会議もできるし、電話も気兼ねなくできるので、かなり快適です」
こうしたシェアオフィスを利用する企業は増えている。それは、シェアオフィスの供給が急増していることが証明している。オフィスビルの動向などを調査しているザイマックス不動産総合研究所は、今年2月に「フレキシブルオフィス市場調査2021」を公表している。ちなみに同研究所ではシェアオフィスやレンタルオフィスなど企業が共同で使うワークスペースの総称として「フレキシブルオフィス」と呼んでいる。
それによると、今年1月の調査時点における東京23区内のフレキシブルオフィスの拠点数は、開業予定も含めて762件となっている。新型コロナ禍前の2019年が436拠点だから、大幅に増えているといっていい。ただし、同研究所の中山善夫社長は次のようにも指摘する。
「今後、新型コロナが収束したとしても全員が同じオフィスに通勤する元の状態に完全に戻ることはないので、フレキシブルオフィスが増える傾向にあることは確かです。ただしテレワークだけが定着するかどうかも、まだ確定的とは言えません」
そうしたなかで、シェアオフィスなどフレキシブルオフィスの利用についても、まだまだ各企業が模索していくことになるだろう。
取材・文/前屋毅(ジャーナリスト)