布団に入って即寝てしまう人は過度な睡眠不足による「気絶」に近い(写真/PIXTA)

布団に入って即寝てしまう人は過度な睡眠不足による「気絶」に近い(写真/PIXTA)

 同じく、「非ノックダウン型」の睡眠薬として最近注目されているのが「オレキシン受容体拮抗薬」だ。これは、「過眠症」の一種である「ナルコレプシー」で生じる作用を利用している。

「ナルコレプシーは、覚醒を維持する『オレキシン』という神経伝達物質が欠乏することが原因で起きます。『オレキシン受容体拮抗薬』は、薬によってオレキシンの作用を止めて、ナルコレプシーのような状態を一時的につくり出し、睡眠を促す薬です」(西野さん)

 だが、こうした新しい薬が開発されていても、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系などの強い睡眠薬を最初にのんでいると、効果が期待できなくなってしまう。処方の順番を誤らないよう注意が必要だ。

 薬以外でも、「睡眠導入」や「快眠」をうたうサプリメントや食品が近年増えている。

「睡眠の質を高める『清酒酵母』や『グリシン』が含まれるものなど、実験によって効果が実証されているものも一部あります。一方で、ストレスを緩和するアミノ酸の一種『GABA』が含まれているサプリメントなどは、GABAの含有量は少なく、脳に働きかけて睡眠につながるほど効果があるとは考えにくい。リラックス効果が期待できる程度でしょう。

 ですが、睡眠には精神状態も大きく影響するので、サプリメントをのんだことで心が落ち着き、プラセボ効果で眠れる人もいる。興味があるなら、試してみてもいいでしょう」(西野さん)

 ただし、効果がないのに長期間のみ続けるのは避けたい。坪田さんが忠告する。

「薬と同じで、サプリメントは体に吸収される過程で肝臓や腎臓に大きな負担をかける。眠れるならばのみ続けてもいいですが、過剰摂取は禁物。1~2か月間同じサプリメントを試して効果がないのなら、別の商品に変えたり、病院を受診するなどした方がいい」

 薬局で市販されている睡眠改善薬は、服用する状況やタイミングに配慮したい。

「くしゃみや鼻水などの風邪症状を抑える『抗ヒスタミン薬』には、眠くなる副作用があります。それを利用したのが、市販の睡眠改善薬です。一般的な風邪薬にも含まれている成分なので安全性は高い。ただし、車の運転前などの服用は避けましょう」(西野さん)

睡眠薬をのんだことが逆効果になる恐れも

 西野さんは、かかりつけ医に睡眠薬を処方してもらう問題点について指摘する。

「睡眠薬は、患者がほかの病気にかかったついでに不眠症状を訴え、かかりつけ医に処方してもらうケースが多い。睡眠の専門家ではない医師が、新しい睡眠薬に関心が低く、以前から処方し慣れたベンゾジアゼピン系の薬を処方するのはよくあることです」

 睡眠薬の処方を軽く見ている医師が多いことも問題だ。

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