東京五輪ソフトボール日本代表選手の金メダルをかじったことについて、謝罪文を読み上げる河村たかし名古屋市長(時事通信フォト)
●その1「相手が若い女性となると遠慮なく偉そうな態度を取る」
アスリート仲間からの怒りと抗議の声の中で、ひときわ迫力たっぷりだったのが、柔道男子100キロ級で金メダルを獲得したウルフ・アロン選手のツイートです。シンガーソングライターの七尾旅人さんが、メダルを噛んでいる市長の画像とともに「河村たかし、シンプルに気持ちわるい。ウルフ・アロンのメダルだったら絶対に噛んでないだろうし。」とツイート。ウルフ・アロン選手はそれを引用して、こうツイートしました。
「もし噛んだら…この先はやめときます。」
河村市長が本人に無断でメダルを噛んだのは、間違いなく、後藤選手が若い女性だったから。七尾さんが言うように、いかつい男性選手だったらそんなことはしていないでしょう(もし噛んだら…どうなるか見てみたい気もしますが)。そこには、セクハラやパワハラや年長者の甘えなど、オッサンのダメ要素が凝縮されています。しかも当人は見事に無自覚で、記者会見で問題点を指摘されてもピンと来ていませんでした。
相手が若い女性とみると、たちまち偉そうな態度を取ったり、頼まれてもいないのにものを教えようとしたり、当然のようにおもてなしを要求したりするオッサンは、掃いて捨てるほどいます。いや、身に覚えがないオッサンのほうが少ないでしょう。今まで大丈夫だったからといって、これからも大目に見てもらえると思ったら大間違い。まわりのためにも自分のためにも、すぐに心を入れ替えましょう。
●その2「“強い相手”に怒られた途端にたちまち手のひらを返す」
今回の件で何が恥ずかしくてみっともなくて情けなかったかと言えば、後藤選手が所属するトヨタ自動車が「不適切かつあるまじき行為」などと抗議のコメントを発表した途端に、たちまちビビッて態度をコロッと変えたところ。水戸黄門の印籠を見て、それまで威張っていた悪代官があわてて土下座する場面を思い出した人も多いでしょう。
河村市長が批判を受けて翌日に発表した謝罪(?)は、こういう内容でした。
「最大の愛情表現だった。金メダル獲得は、あこがれだった。迷惑を掛けているのであれば、ごめんなさい」
見事なまでにナメたコメントです。この期に及んでの「愛情表現だった」はセクハラの上塗りだし、「~であれば」は、自分は悪くないと思っている人の常套句。ほかの政治家もよく使いますが、本来は謝罪で使ってはいけない言い回しです。最後の「ごめんなさい」も、被害者や世間の神経を逆なでしようとしているとしか思えません。
ところが、偉大なるトヨタ様がお怒りだとわかった途端、「立場をわきまえない極めて不適切な行為であったと猛省すべきと痛感しており」といった真面目な謝罪文を作成。トヨタ本社にお詫びに向かいます(門前払いされたようですが)。誰に何を言われても「そんなに怒らんでちょーよ」という態度を貫く気骨があるなら、まだマシだったんですけど。
ただ、自分より立場が弱い相手には威張り散らすけど強い相手には媚びへつらうオッサンは、これまた掃いて捨てるほどいます。河村市長のフリ見て我がフリ直しましょう。