五輪期間中の浅草(写真/共同通信社)

五輪期間中の浅草(写真/共同通信社)

 だが問題は、ワクチンが普及しても感染リスクから解放されるわけではないことだ。関西福祉大学教授(渡航医学)で医師の勝田吉彰氏が語る。

「これまでワクチン接種者が6割を超えると『集団免疫』が成立して感染が収まるとされていましたが、実際には国民の6割が接種したイスラエルでも新規感染者数が増加しています。

 現在流行しているデルタ株の感染力が想定以上に強く、これまではひとりの人から何人に感染が広がるかを示す実効再生産数は2.5~3.5が上限とされてきましたが、デルタ株は8と報道されたほど。集団免疫を獲得するには、全国民の9割に接種が必要とも言われています」

 事実、日本より接種が進んだはずのフランスやアメリカでも感染者数は減っていない。京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏が指摘する。

「デルタ株は従来株に比べてワクチンの効果が低く、接種が進んだ国でも、接種完了後に感染する『ブレイクスルー感染』が発生しています。またワクチンを打ったとしても感染予防効果は一時的なものに過ぎない。本格的な流行が到来する今年の冬には、たとえワクチンを接種していても、現在以上に感染者数が増加すると考えられます」

 やはり今年も忘年会は厳しいのか……。

※週刊ポスト2021年8月27日・9月3日号

五輪イベントに人が集まるパリ(写真/共同通信社)

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