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温暖化で活動期間が長期化する「蚊」 人間の命を最も多く奪う生き物

蚊

世界中で被害を出し続ける「蚊」

 夏が過ぎたからといって“蚊”の季節が終わったわけではない。秋になってもまだまだ蚊は活発に活動しているのだ。

「世界保健機関などの統計を基にしたデータによると、人間を最も多く殺している生き物は蚊なんです。たとえば、2014年に流行したデング熱は蚊が媒介する病気。刺されたらかゆいというだけでなく、恐ろしい病を媒介する可能性がある怖い虫なんです」

 と、大日本除虫菊宣伝部の笹岡可奈子さんは言う。蚊は気温15℃を超えると吸血活動を開始し、25~30℃で最も活発になる。そのため、これまでは夏前後に気をつければよかったが、最近は事情が変わってきているという。

「近年は温暖化の影響もあり、3月中旬に15℃を、5月には25℃を超えることも。蚊の活動期間は長期化しているといえます」(笹岡さん)

 また、日本でよく目にする蚊は「ヒトスジシマカ」と「アカイエカ」だが、これらは活発な時期が違う。

「前者は4~9月末、後者は秋頃から増え、11月まで活動します」(害虫防除技術研究所所長・白井良和さん)

 そこで、蚊が媒介する主な病気を紹介しよう。

●デング熱
潜伏期間:感染後2~15日で発症(多くは3~7日)
媒介する蚊:ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ
主な症状:38~40℃の高熱、頭痛、眼窩痛、関節・筋肉痛、発疹など

 デングウイルスを持った蚊に刺されることで感染。1週間ほどで回復するが、ごくまれに重症化すると出血症状、ショック症状を呈するデング熱出血を引き起こす。

●日本脳炎
潜伏期間:感染後6~16日で発症
媒介する蚊:コガタアカイエカ
主な症状:38℃以上の高熱、頭痛、悪心、嘔吐、めまいなど

 コガタアカイエカによって豚から人に伝播。感染しても発病するのは100~1000人に1人程度だが、発病したときの致死率は20~40%。乳幼児や高齢者の場合、後遺症が残る可能性も高い。

●ジカ熱(ジカウイルス感染症)
潜伏期間:感染後2~12日で発症(多くは2~7日)
媒介する蚊:ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ
主な症状:軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉・関節痛、倦怠感、頭痛など

 ジカウイルスを持った蚊に刺されることで生じる感染症。デング熱などの蚊媒介感染症より軽症で、無症状の場合も。ただし胎児が母親から感染すると、小頭症などの先天性障害を引き起こす恐れが。

●フィラリア症
潜伏期間:段階を経て発症するためさまざま
媒介する蚊:イエカ属、ハマダラカ属、ヤブカ属
主な症状:リンパ浮腫、顔・脚・性器の腫れなど

 フィラリアを蚊が媒介して人に感染。犬や猫への感染が多く、人には滅多に寄生しないといわれている。

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